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病気のはなし
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サマリー
慢性膵炎とはなんらかの素因を背景に,飲酒・喫煙などの生活習慣病的要因が加わって発症する膵臓の慢性炎症である.臨床経過を“代償期”,“移行期”,“非代償期”に分類することが多い.代償期には急性膵炎様の腹痛発作を繰り返すが,次第に膵実質が失われていき,進行した非代償期には膵内外分泌不全徴候が現れる.診断は「慢性膵炎臨床診断基準2009」1)に基づいて行う.この診断基準では,早期慢性膵炎が定義された.治療は,禁酒・禁煙を生活指導の基本とし,腹痛に対しては蛋白分解酵素阻害薬を中心とした薬物療法や,体外衝撃波結石破砕療法(extracorporeal shock wave lithotripsy,ESWL)を併用した内視鏡的膵石除去が行われる.消化吸収障害に対しては消化酵素の補充療法,糖尿病にはインスリン治療が行われる.
慢性膵炎とはなんらかの素因を背景に,飲酒・喫煙などの生活習慣病的要因が加わって発症する膵臓の慢性炎症である.臨床経過を“代償期”,“移行期”,“非代償期”に分類することが多い.代償期には急性膵炎様の腹痛発作を繰り返すが,次第に膵実質が失われていき,進行した非代償期には膵内外分泌不全徴候が現れる.診断は「慢性膵炎臨床診断基準2009」1)に基づいて行う.この診断基準では,早期慢性膵炎が定義された.治療は,禁酒・禁煙を生活指導の基本とし,腹痛に対しては蛋白分解酵素阻害薬を中心とした薬物療法や,体外衝撃波結石破砕療法(extracorporeal shock wave lithotripsy,ESWL)を併用した内視鏡的膵石除去が行われる.消化吸収障害に対しては消化酵素の補充療法,糖尿病にはインスリン治療が行われる.
参考文献
1) 厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班,日本膵臓学会,日本消化器病学会:慢性膵炎臨床診断基準2009.膵臓 24:645-646,2009
2) 下瀬川徹,廣田衛久,正宗淳,他:慢性膵炎の実態に関する全国調査.厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究.平成20~22年度 総合研究報告書.厚生労働省,pp185-189,2011
3) 日本消化器病学会(編):慢性膵炎診療ガイドライン.南江堂,2009
4) 下瀬川徹,伊藤鉄英,中村太一,他:特集:慢性膵炎の断酒・生活指導指針.膵臓 25:617-681,2010
5) 大槻眞,藤野善久:慢性膵炎登録患者の予後および死因に関する検討.厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究.平成20~22年度 総合研究報告書.厚生労働省,pp153-157,2011
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