文献詳細
文献概要
Laboratory Practice 〈生化学〉
日常検査データの精度保証を目的とした「臨床検査精度保証教本」の活用
著者: 細萱茂実1
所属機関: 1香川県立保健医療大学大学院保健医療学研究科臨床検査学分野
ページ範囲:P.127 - P.130
文献購入ページに移動はじめに
臨床検査データは,疾病の診断・治療・予後の判定,また健康を維持・増進するヘルスケアに活用される.それら臨床検査データは医療施設や健診施設など,どこで測定しても測定値の精確さ(正確さと精密さ)が保証されていることが求められる.この目的達成のため,臨床検査データの標準化が不可欠となる.標準化されたトレーサビリティ連鎖の基盤のもとで,長期的・継続的に測定値の精確さを維持・管理し,基準範囲や病態識別値の広域的な共有が可能となる.
従来の臨床検査データ標準化活動は,外部精度評価(精度管理調査)と内部精度管理がその主体であり,測定値の施設間差や施設内変動の是正を目的に進められてきた.それら活動の重要性は不変であるが,これからは加えて測定対象に関するトレーサビリティ連鎖を軸とし,上位の標準物質や基準測定操作法から適正に値を伝達し,その結果として施設間・施設内の正確さ・精密さを確保し信頼性を保証することが必要となる.
社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)より出版された「臨床検査精度保証教本(以下,精度保証教本)」1)は,全国規模で実施した臨床検査データ標準化実践事業2)で活かされた標準化や精度保証に対する考え方や手順が解説され,日常検査データの精度保証の実現に必要となる知識や技術が網羅されている.
臨床検査データは,疾病の診断・治療・予後の判定,また健康を維持・増進するヘルスケアに活用される.それら臨床検査データは医療施設や健診施設など,どこで測定しても測定値の精確さ(正確さと精密さ)が保証されていることが求められる.この目的達成のため,臨床検査データの標準化が不可欠となる.標準化されたトレーサビリティ連鎖の基盤のもとで,長期的・継続的に測定値の精確さを維持・管理し,基準範囲や病態識別値の広域的な共有が可能となる.
従来の臨床検査データ標準化活動は,外部精度評価(精度管理調査)と内部精度管理がその主体であり,測定値の施設間差や施設内変動の是正を目的に進められてきた.それら活動の重要性は不変であるが,これからは加えて測定対象に関するトレーサビリティ連鎖を軸とし,上位の標準物質や基準測定操作法から適正に値を伝達し,その結果として施設間・施設内の正確さ・精密さを確保し信頼性を保証することが必要となる.
社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)より出版された「臨床検査精度保証教本(以下,精度保証教本)」1)は,全国規模で実施した臨床検査データ標準化実践事業2)で活かされた標準化や精度保証に対する考え方や手順が解説され,日常検査データの精度保証の実現に必要となる知識や技術が網羅されている.
参考文献
1) 日本臨床衛生検査技師会:臨床検査精度保証教本.日本臨床衛生検査技師会,2010
2) 日本臨床衛生検査技師会:日臨技臨床検査データ標準化事業報告書.日本臨床衛生検査技師会,2008~2010
3) 厚生労働省健康局:標準的な健診・保健指導プログラム(確定版).2007
4) 細萱茂実:ISO/TC212における臨床検査の国際規格.臨床化学 38:376-383,2009
5) 細萱茂実:臨床検査における測定の不確かさの意義と算出法.広範囲血液・尿化学検査・免疫学的検査―その数値をどう読むか―第7版.日本臨床 67(増刊8):21-25,2009
6) 細萱茂実:クオリティマネジメントシステムの全体体系に関する指針(第二報).臨床化学 40(Supp1):121-122,2011
7) 日本臨床検査標準協議会:標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項目のトレーサビリティに関する指針.2008
8) 日本臨床化学会クオリティマネジメント専門委員会:生理的変動に基づいた臨床化学検査36項目における測定の許容誤差限界.臨床化学 35:144-153,2006
9) ISO Guide 33 : Uses of certified reference materials. 1989
掲載誌情報