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医療技術者,特に臨床検査技師を取り巻くグレーゾーン
著者: 小沼利光1
所属機関: 1東京都済生会向島病院医療技術部
ページ範囲:P.331 - P.333
文献購入ページに移動広辞苑には“グレーゾーン”という言葉が記載されていない.一つずつ紐解けば“グレー”は文字通り灰色であるし,“ゾーン”は区域を示すので,一般的に物事の中間領域や曖昧領域のことを指す俗語として,金融業界を中心に広く使われている.ここでいうところの“灰色”とは“白”と“黒”のどちらでもない色彩を指し,“白”が合法,“黒”が違法を象徴している.
近年,医療界で囁かれ始めたグレーゾーンは,医師以外のコメディカル部門の職員が日常ルーチン中しばしば遭遇する身分法の文面上,本来業務に謳われていない仕事を指す.
そのなかには身分法に書かれていないばかりでなく,医師法に抵触する業務も含まれるが,効率や即時性の観点から鑑みても,法律を超えて実施するほうが妥当であると考えざるを得ない事柄も多い.しかし,実施すれば間違いなく“黒”となる.このジレンマは多くの医療従事者が経験し,今日に至りようやくその職能団体が厚生労働省に働きかけ,実態が白日の下に曝されることとなった.
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