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Laboratory Practice 〈救急〉
災害医療現場で必要な検査
著者: 櫛引健一1
所属機関: 1岸和田徳洲会病院臨床検査科
ページ範囲:P.518 - P.521
文献購入ページに移動2011年3月11日に発生した東日本大震災において,お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます.また,行方不明の方々に対して哀悼の意を表すとともに,復興のために今もなお,日々ご苦労されている被災者の方々にお見舞い申し上げます.
災害発生時における最前線医療現場にて,臨床検査が直ちに活用されることは,ある意味稀なことなのかもしれない.しかし,これは災害医療現場における臨床検査が不要であるという意味ではなく,救命を最優先したトリアージを行うことがその初動目的であるからである.過去においても,未来においても各種の災害を回避することはできないわけであるから,医療需要(傷病者数に対する医療対応能力)のシミュレーションと訓練は必要不可欠である.災害対応能力は,図1に示すように経験の度合いが能力を発揮できるかに比例するといわれている.今回の大震災においても大混乱のなか,阪神・淡路大震災の経験を踏まえ,臨床検査の重要性を再認識する機会であったことや,その実践のためのさまざまな問題点・課題を整理するきっかけになったことはせめてもの収穫であった.われわれは必ずや次世代のために,この財産を申し送らなければならない使命があるということも併せて理解しなければならない.
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