文献詳細
Laboratory Practice 〈免疫血清〉
文献概要
はじめに
白血病や悪性リンパ腫など主として血液悪性疾患に対して行われる造血幹細胞移植療法は,年々実施症例数が増加傾向を示している.なかでも末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation,PBSCT)は,2010年度から骨髄移植推進財団(骨髄バンク)を介した非血縁者間での移植が開始されており,今後さらに増加していくと思われる.
PBSCTでは,採取細胞中のCD34陽性細胞数で造血幹細胞の採取量を評価する.移植に必要とされる細胞数は,骨髄バンクの基準では患者体重当たり2×106/kgとされ,これに満たない場合には2回目の採取が必要となる.このためCD34陽性細胞数の測定には,PBSCTにおいて採取終了の決定と移植の成功を左右する重要性がある.
CD34陽性細胞数の測定には,フローサイトメトリー(flow cytometry,FCM)を用いるが,シングルプラットフォーム法とデュアルプラットフォーム法の二つの方法があり,それぞれ長所と短所がある.国際血液療法・移植学会(The International Society of Hematotherapy and Graft Engineering,ISHAGE)1,2)や日本臨床検査標準協議会のガイドライン3)では,シングルプラットフォーム法を推奨しているが,検査方法は各施設に委ねられており,統一されていないのが現状である.本稿では,FCMによる二つの測定方法と特徴について述べる.
白血病や悪性リンパ腫など主として血液悪性疾患に対して行われる造血幹細胞移植療法は,年々実施症例数が増加傾向を示している.なかでも末梢血幹細胞移植(peripheral blood stem cell transplantation,PBSCT)は,2010年度から骨髄移植推進財団(骨髄バンク)を介した非血縁者間での移植が開始されており,今後さらに増加していくと思われる.
PBSCTでは,採取細胞中のCD34陽性細胞数で造血幹細胞の採取量を評価する.移植に必要とされる細胞数は,骨髄バンクの基準では患者体重当たり2×106/kgとされ,これに満たない場合には2回目の採取が必要となる.このためCD34陽性細胞数の測定には,PBSCTにおいて採取終了の決定と移植の成功を左右する重要性がある.
CD34陽性細胞数の測定には,フローサイトメトリー(flow cytometry,FCM)を用いるが,シングルプラットフォーム法とデュアルプラットフォーム法の二つの方法があり,それぞれ長所と短所がある.国際血液療法・移植学会(The International Society of Hematotherapy and Graft Engineering,ISHAGE)1,2)や日本臨床検査標準協議会のガイドライン3)では,シングルプラットフォーム法を推奨しているが,検査方法は各施設に委ねられており,統一されていないのが現状である.本稿では,FCMによる二つの測定方法と特徴について述べる.
参考文献
1) Sutherland DR, Anderson L, Keeney M, et al : The ISHAGE guidelines for CD34+Cells determination by flow cytometry. J Hematother 5:213-226,1996
2) Gratama JW, Keeney M, Sutherland DR : Enumeration of CD34+ Hematopoietic Stem and Progenitor Cells, Current Protocols in Cytometry, 6.4.1-6.4.22,1999
3) JCCLS血液検査標準化検討委員会フローサイトメトリーワーキンググループ:フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-P V1.0)
4) Barnett D, Janossy G, Lubenko A, et al : Guideline for the flowcytometric enumeration of CD34+ haematopoietic stem cells. Prepared by the CD34+ haematopoietic stem cell working party. General Haematology Task Force of the British Committee for Standards in Haematology. Clin Lab Haematol 21:301-308,1999
5) BD社ホームページ(http://www.bdj.co.jp/products.html)
6) BC社ホームページ(http://www.bc-cytometry.com/)
7) 斎藤俊一,奥津美穂,小幡悠子,他:異なる測定キットを用いたフローサイトメーター2機種間のCD34陽性細胞数測定の比較:Cytomics FC500とFacs Calibur.日本輸血細胞治療学会誌 53:547-552,2007
8) Gajkowska A, Oldak T, Jastrzewska M, et al : Flow cytometric enumeration of CD34+ hematopoietic stem and progenitor cells in leukapheresis product and bone marrow for clinical transplantation : a comparison of three methods. Folia Histochem Cytobiol 44:53-60,2006
9) 奥山美樹,原口京子,中川美子,他:末梢血幹細胞中のCD34陽性細胞におけるシングルプラットフォーム法とデュアルプラットフォーム法の比較.日本輸血細胞治療学会誌 57:297,2011
10) 熊澤寛子,大竹龍三郎,吉田茂久,他:末梢血幹細胞採取におけるCD34陽性細胞数測定誤差の検討.日本輸血細胞治療学会誌 57:298,2011
掲載誌情報