文献詳細
文献概要
トピックス
IL28B遺伝子検査の意義
著者: 可児里美12 田中靖人12
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学講座 2名古屋市立大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.541 - P.543
文献購入ページに移動現在,わが国における慢性肝炎の約70%はC型肝炎ウイルス(hepatitis virus C,HCV)によるものといわれている.HCVは血液を介して感染し,急性肝炎を発症後70~80%の高い確率で慢性化する.慢性化するとほとんど症状はなく,その30%が肝硬変,肝癌へと進行する.ヒアルロン酸,IV型コラーゲン,画像診断などの結果から,正常をF0,肝硬変をF4とした肝線維化のステージング評価によると,無治療のC型肝炎群は発癌への階段を約10年に一段ずつ登ることになる.ウイルス排除の作用をもつインターフェロン(interferon,IFN)治療によりHCVが排除された場合,すなわち血中のHCV-RNAが陰性化した場合には,肝癌へと向かう線維化の階段を4年に一段ずつ後退させることが可能となる1).したがって,C型肝炎に対する治療として最も大切なのは,ウイルスを肝細胞内から排除することである.
参考文献
掲載誌情報