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文献詳細

雑誌文献

検査と技術40巻6号

2012年06月発行

文献概要

トピックス

IL28B遺伝子検査の意義

著者: 可児里美12 田中靖人12

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学講座 2名古屋市立大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.541 - P.543

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はじめに

 現在,わが国における慢性肝炎の約70%はC型肝炎ウイルス(hepatitis virus C,HCV)によるものといわれている.HCVは血液を介して感染し,急性肝炎を発症後70~80%の高い確率で慢性化する.慢性化するとほとんど症状はなく,その30%が肝硬変,肝癌へと進行する.ヒアルロン酸,IV型コラーゲン,画像診断などの結果から,正常をF0,肝硬変をF4とした肝線維化のステージング評価によると,無治療のC型肝炎群は発癌への階段を約10年に一段ずつ登ることになる.ウイルス排除の作用をもつインターフェロン(interferon,IFN)治療によりHCVが排除された場合,すなわち血中のHCV-RNAが陰性化した場合には,肝癌へと向かう線維化の階段を4年に一段ずつ後退させることが可能となる1).したがって,C型肝炎に対する治療として最も大切なのは,ウイルスを肝細胞内から排除することである.

参考文献

1) Shiratori Y, Imazeki F, Moriyama M, et al : Histologic improvement of fibrosis in patients with hepatitis C who have sustained response to interferon therapy. Ann Intern Med 132:517-524,2000
2) Tanaka Y, Nishida N, Sugiyama M, et al : Genome-wide association of IL28B with response to pegylated interferon-alpha and ribavirin therapy for chronic hepatitis C. Nat. Genet 10:1105-1109,2009
3) Kani S, Tanaka Y, Matsuura K, et al : Development of new IL28B genotyping method using Invader Plus assay. Microbiol Immunol (in press)
4) Akuta N, Suzuki F, Hirakawa M, et al : Amino acid substitution in hepatitis C virus core region and genetic variation near the interleukin 28B gene predict viral response to telaprevir with peginterferon and ribavirin. Hepatology 52:421-429,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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