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Laboratory Practice 〈微生物〉
最近のインフルエンザウイルス抗原検出キットについて
著者: 吉田彩香1 松田淳一1 栁原克紀1
所属機関: 1長崎大学病院検査部
ページ範囲:P.826 - P.829
文献購入ページに移動インフルエンザウイルスは,オルトミクソウイルス科に属するRNAウイルスで,ウイルス粒子表面上に存在する抗原性の違いにより主にA型・B型・C型の3種類に区別される.ヒトインフルエンザの原因ウイルスとしてA型・B型が知られており,ウイルス粒子表面には赤血球凝集素(hemagglutinin,HA)とノイラミニダーゼ(neuraminidase,NA)という糖蛋白が存在する.特に,A型インフルエンザウイルスはHAとNAの変異が多いが,B型インフルエンザウイルスは変異が少ない.
インフルエンザウイルスに感染すると,短い潜伏期間を経て突然の高熱,頭痛,腰痛,全身倦怠などの全身症状に始まり,鼻汁,咽頭痛,咳などの呼吸器症状が主であるが,高齢者や小児の場合,稀に急性脳症や二次感染により重症化することもあるとされている.
インフルエンザ感染症の診断は,培養法,遺伝子検査,抗原検出法があるが,培養法は時間を要するうえ施行可能な施設が限られている,遺伝子検査は,特殊技術を要するため日常検査としては不適である.一方,抗原検出法は迅速性に優れており,日常検査に応用されるようになり,さまざまな診断用キットが開発されている.本稿では,日常検査に使用されている抗原検出法を中心に述べる.
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