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管状癌
著者: 森谷卓也1 中島一毅2
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学総合外科学
ページ範囲:P.830 - P.830
文献購入ページに移動50歳代,女性.6年前に乳癌検診で異常を指摘されたが,確定的診断に至らず経過検察を行っていた.腫瘤は増大する傾向にあり,穿刺吸引細胞診を行い悪性の疑い(図1),引き続き針生検で悪性(浸潤癌)の診断に至った.超音波では境界不整,粗造なやや低エコーの腫瘤として描出され(図2),周囲にspiculationを伴い,後方エコーは減弱,ハローも伴い,DW比(depth width ratio)も高かった.エラストグラフィでも硬い腫瘤として描出された(図3).乳房円状部分切除術では,11mm長径の境界不明瞭な不整形腫瘤を認めており(図4),内部は膠原線維の増生とともに,小型均質な細胞が二相性を欠く管状腺管を形成し浸潤していた(図5).管状癌,グレード1,ER(estrogen receptor)陽性,PgR(progesterone receptor)陽性,HER2陰性,と診断された.リンパ節転移はみられなかった.
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