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肉腫様膀胱癌(膀胱癌肉腫)
著者: 寺畑信太郎1
所属機関: 1市立砺波総合病院病理科
ページ範囲:P.1063 - P.1063
文献購入ページに移動【症例の概要】
症例は60歳代後半の女性.血尿を主訴として泌尿器科受診.既往歴では40歳代に子宮癌で摘出術と放射線治療を受けている.経尿道膀胱超音波検査で膀胱腫瘍が指摘され,尿細胞診では悪性腫瘍が疑われ,膀胱鏡による組織生検で肉腫が示唆されたため,膀胱摘出術が施行された.肉眼的には膀胱左壁に長径3.7cm大の亜有茎性腫瘍が認められた.組織学的には腫瘤の大半は多形性に富む紡錘状の腫瘍細胞が花むしろ状配列を示しながら束状に錯綜する像からなり,巨細胞の出現や炎症細胞浸潤を伴っていた.免疫染色ではケラチン,EMA(epithelial membrane antigen)など上皮性マーカーは陰性で,軟部腫瘍で認められる悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma,MFH)を思わせる像であった.浸潤は膀胱筋層内に及んでいた.腫瘤の表層のびらんをまぬがれた部分にsquamous cell carcinomaの像が認められ,最終的に肉腫様癌(いわゆる癌肉腫)と診断された.
症例は60歳代後半の女性.血尿を主訴として泌尿器科受診.既往歴では40歳代に子宮癌で摘出術と放射線治療を受けている.経尿道膀胱超音波検査で膀胱腫瘍が指摘され,尿細胞診では悪性腫瘍が疑われ,膀胱鏡による組織生検で肉腫が示唆されたため,膀胱摘出術が施行された.肉眼的には膀胱左壁に長径3.7cm大の亜有茎性腫瘍が認められた.組織学的には腫瘤の大半は多形性に富む紡錘状の腫瘍細胞が花むしろ状配列を示しながら束状に錯綜する像からなり,巨細胞の出現や炎症細胞浸潤を伴っていた.免疫染色ではケラチン,EMA(epithelial membrane antigen)など上皮性マーカーは陰性で,軟部腫瘍で認められる悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma,MFH)を思わせる像であった.浸潤は膀胱筋層内に及んでいた.腫瘤の表層のびらんをまぬがれた部分にsquamous cell carcinomaの像が認められ,最終的に肉腫様癌(いわゆる癌肉腫)と診断された.
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