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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻11号

2013年10月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

MRSAが分離された場合,感染症とコロニゼーションをどのように鑑別しますか?

著者: 比嘉太1 田里大輔1 藤田次郎1

所属機関: 1琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座(第1内科)

ページ範囲:P.1066 - P.1069

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はじめに

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)は院内感染の最も重要な起炎菌であり,多くの医療施設がその対応に今なお難渋している.さらに,近年は市中におけるMRSA(community-associated MRSA,CA-MRSA)の分離頻度が増加している.特に,米国を中心にPVL(Panton-Valentine leukocidine)と呼ばれる毒素を有するCA-MRSAが市中感染の起炎菌として広がる傾向にあり,新たな脅威となっている.

 一方では,近年いくつかの新規抗MRSA薬(リネゾリド,ダプトマイシン)が上市され,従来用いられてきたバンコマイシン,テイコプラニン,アルベカシンに加えてMRSA感染症治療における有力な武器を得たのは確かである.しかし,抗MRSA薬も決して万能ではなく,例としてバンコマイシンに対するMRSAの耐性化あるいは感受性低下MIC creepが報告されている.

 MRSA感染症の診断および治療の適正化には,臨床細菌検査部門の役割も大きい.本稿では,臨床検体からMRSAが分離された場合の臨床的判断を概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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