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クロピドグレル抵抗性
著者: 坂田飛鳥12 大森司1
所属機関: 1自治医科大学分子病態治療研究センター分子病態治療研究部 2自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
ページ範囲:P.1102 - P.1105
文献購入ページに移動動脈硬化症を背景としたアテローム血栓症発症には,血小板活性化が重要な役割を果たしている.このためアテローム血栓症の予防・治療には主として抗血小板薬が用いられる.さまざまな抗血小板薬が動脈血栓症の予防・治療に使用されるなか,クロピドグレルなどのチクロピジン系抗血小板薬の使用が重要になるのは主に冠動脈疾患である.経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention,PCI),特に冠動脈ステント留置後にはアスピリンとチエノピリジン系薬剤による2剤抗血小板薬併用がステント内血栓症を予防するために必須である.
近年,薬剤溶出性ステントの登場でステント内再狭窄のリスクが低減されたが,一方で,遅発性のステント内血栓予防のために抗血小板薬併用療法を行う期間は延長傾向にある.クロピドグレルなどの抗血小板薬はワルファリンなどと異なり,全ての患者に一定量を投与することが一般的となっているが,抗血小板薬にも他の薬剤と同様に,その効果に個人差が生じることが予想される.クロピドグレル抵抗性とは,クロピドグレル内服後の抗血小板作用が減弱している現象・患者群を指す.
本稿では,クロピドグレル抵抗性の機序ならびに臨床予後への影響と,その対策について概説する.
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