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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻12号

2013年11月発行

文献概要

けんさ質問箱

皮膚の白癬菌検査で鑑別を必要とする間違いやすい真菌と,疥癬のヒゼンダニについて鑑別を要するダニ

著者: 岩澤真理1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院皮膚科

ページ範囲:P.1154 - P.1155

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Q 皮膚の白癬菌検査で鑑別を必要とする間違いやすい真菌がありましたら教えてください.

また,疥癬のヒゼンダニについても鑑別を要するダニがあれば教えてください.


A 皮膚検体から分離される真菌は,白癬菌,カンジダ,マラセチア,黒色真菌,Sporothrix schenckii,アスペルギルスなどが挙げられ,これらとの鑑別が必要となります.まず,患部から採取した検体(鱗屑,爪,毛,膿汁など)のKOH(potassium hydroxide)直接鏡検を行います.白癬菌では,着色のないやや屈曲した糸状の有隔菌糸で,時に分岐しているのが観察されます(図1a).毛への感染では,菌種により寄生形態が異なり,胞子連鎖がみられることがあります.カンジダは,着色がなく,隔壁のない仮性菌糸と酵母細胞,出芽型の胞子産生がみられます(図1b).マラセチアでは“meat ball and spaghetti型”と称される,短い菌糸と,球状の胞子が特徴的です(図1c).黒色真菌は,褐色の分岐性有隔菌糸,胞子連鎖,酵母細胞,sclerotic bodyがみられます.アスペルギルスは,隔壁があり,二分岐性で幅広く不規則な外壁を有する菌糸がみられます.S. schenckiiは通常,病巣内の酵母型細胞が極めて少数のため,直接鏡検で真菌要素を検出することはほとんどありません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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