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病気のはなし
尿路結石
著者: 郡健二郎1
所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野
ページ範囲:P.1198 - P.1202
文献購入ページに移動近年,「尿路結石は生活習慣病の一疾患である」という概念が定着した.そのことを反映するように,その発病率は増加の一途をたどっている.2005年の全国疫学調査によると,男性の約15%が一生涯に一度は尿路結石を罹患していることになる.尿路結石の歴史は古く,「水分摂取」を唱えたのはヒポクラテスだといわれている.18世紀には尿路結石の無機成分が同定され,尿酸結石とシスチン結石に対する溶解療法が開発された.筆者は,有機成分としてオステオポンチン(osteopontin,OPN)などの物質を同定した.この発見によって尿路結石の形成機序は細胞レベルで解明され,新たな治療法の開発につながっている.なかでも重要なポイントは,尿路結石は腎尿細管細胞を基盤として形成され,その機序は動脈硬化の石灰化形成に似ていることである.したがって,予防には,食事療法,高脂血症治療薬,緑茶などの抗酸化食品などが有用であることも明らかになっている.なお,外科的治療には,1985年にわが国に導入された体外衝撃波結石破砕術(extracorporeal shock wave lithotripsy,ESWL)が約90%の結石患者に用いられている.
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