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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻13号

2013年12月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

腸管出血性大腸菌が検出された場合の法的取り扱いを教えてください

著者: 熊坂一成1

所属機関: 1上尾中央総合病院臨床検査科/感染制御室

ページ範囲:P.1244 - P.1248

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はじめに

 1982年,米国のオレゴンとミシガンのファストフード店のサンドイッチによる出血性大腸炎集団発生例で,大腸菌O-157が原因菌として分離された1).日本では,1990年に埼玉県の幼稚園で井戸水を原因としたO-157の集団発生事件で園児2人が死亡した.1996年には大阪府堺市で患者5,591人に上るO-157の集団発生事件が起きた.その後は,腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli,EHEC/Shiga toxin-producing Escherichia coli,STEC)感染症の患者数はほぼ横ばいであり,年間千数百人の患者が発生している.

 現在は,流通事情を反映して,同一汚染食品が広範囲に流通した結果,一見,散発事例と思われる同時多発的な集団事例(diffuse outbreak)が発生している.2011年には焼き肉チェーン店でユッケと焼き肉が原因とされるEHEC O-111による集団食中毒が富山県,福井県,横浜市において発生し,34名が溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)を発症し,5名が脳症で死亡した.

 EHEC感染症は正確な診断と迅速なマネジメントが必要な疾患である.個々の患者の診療に加えて,公衆衛生上も適切な対応を要することが多い.本稿では,医師がEHEC感染症と医師診断したときに必要な,保健所長への具体的な届け出の手順を中心に述べる.

参考文献

1)Boyce TG, Swerdlow DL, Griffin PM : Escherichia coli O157 : H7 and the hemolytic-uremic syndrome. N Engl J Med 333:364-368,1995
2)厚生労働省:感染症発生動向調査事業実施要綱.(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/dl/01_kansensho.pdf)
3)厚生労働省:感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について 3 腸管出血性大腸菌感染症.(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-03-03.html)
4)厚生労働省:腸管出血性大腸菌Q&A.(http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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