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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻13号

2013年12月発行

文献概要

ワンポイントアドバイス 輸血検査での付加価値報告書の有用性・1

不規則抗体陽性時の臨床への報告

著者: 大河内直子1 曽根伸治1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院輸血部

ページ範囲:P.1264 - P.1265

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はじめに

 輸血の可能性がある患者には血液型検査を実施するが,ABO式およびRh式(D)血液型のみを検査しており,他のRh式血液型(E,e,Cおよびc抗原)やその他の血液型(Kell系,Duffy系,Kidd系,Lewis系,MNS系,P系,Lutheran系など)の抗原検査は実施していない.また,赤血球輸血時も,ABO血液型およびRho(D)血液型のみの適合性を確認している.このため,輸血後や妊娠・出産後には,ABO血液型抗原以外の不適合による免疫反応で抗体(不規則抗体)が産生されている可能性があり,輸血や妊娠に伴う溶血性副作用に注意が必要である.Rh式でD抗原以外の抗原の適合血を検索しない理由は,E,e,C,c抗原がD抗原に比較し,抗原性が非常に低いからである.また,不規則抗体には免疫抗体のみでなく,自然抗体も存在する.不規則抗体スクリーニングでの陽性率は各施設で異なるが,1%前後である.

 本稿では,不規則抗体陽性時の報告書を受け取る臨床医の立場から,どのような解説を加えて臨床に結果を報告すると有用であるかについて述べる.

参考文献

1)認定輸血検査技師制度協議会(編):スタンダード輸血テキスト,第2版.医歯薬出版,2007
2)石井規子,大友直樹,金光靖,他:不規則抗体カード作成に関する現状と方向性,平成21年度全国大学病院輸血部会議技師研究会における調査と討論より.日輸血細胞治療会誌 58:710-715,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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