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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻2号

2013年02月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

B型肝炎の最新情報およびガイドライン―核酸アナログ製剤中止とHBs抗原定量値の推移

著者: 松居剛志12 新海登3 田中靖人1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科病態医科学(ウイルス学) 2手稲渓仁会病院消化器病センター 3名古屋市立大学大学院医学研究科消化器・代謝内科学分野

ページ範囲:P.108 - P.113

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はじめに

 ウイルス性肝炎は国内最大級の感染症であり,わが国においては約350~400万人がB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)あるいはC型肝炎ウイルスに感染していると推測されている.これらのうちHBVは,1964年にBlumbergらによって発見されて以来約50年経過したものの1),現在でも世界中で約4億人のHBVキャリアが存在し,年間約50~70万人が死亡していると推定されている.また,わが国では約150万人のHBVキャリアが存在し,肝癌の原因としてC型肝炎ウイルスに次いで2番目に多い.さらには近年,免疫・化学療法中のHBV既感染者におけるHBVの再活性化という新たな問題も生じている.本稿では,核酸アナログ製剤中止とHBs抗原定量値の推移を含めたB型肝炎の最新情報およびガイドラインを中心に述べる.

参考文献

1)Blumberg BS, Alter HJ, Visnich S : A “new” antigen in leukemia sera. JAMA 191:541-546,1965
2)Marusawa H, Uemoto S, Hijikata M, et al : Latent hepatitis B virus infection in healthy individuals with antibodies to hepatitis B core antigen. Hepatology 31:488-495,2000
3)Dandri M, Locarnini S : New insight in the pathobiology of hepatitis B virus infection. Gut 61 (Suppl 1):i6-i17,2012
4)Kao JH, Chen PJ, Lai MY, et al : Hepatitis B genotypes correlate with clinical outcomes in patients with chronic hepatitis B. Gastroenterology 118:554-559,2000
5)平成23年度厚生労働省科学研究費肝炎等克服緊急対策研究事業(肝炎分野)ウイルス肝炎における最新の治療法の標準化を目指す研究班:平成24年B型C型慢性肝炎・肝硬変治療ガイドライン.(http://www.jsh.or.jp/medical/date/H24_guideline.pdf)
6)伊藤清顕,溝上雅史:Genotype AによるB型急性肝炎の拡大とその特徴.医学のあゆみ 242:389-394,2012
7)Ghany M, Liang TJ : Drug targets and molecular mechanisms of drug resistance in chronic hepatitis B. Gastroenterology 132:1574-1585,2007
8)田中榮司,松本晶博,鈴木義之,他:核酸アナログ薬中止に伴うリスク回避のための指針2012―厚生労働省「B型肝炎の核酸アナログ薬治療における治療中止基準の作成と治療中止を目指したインターフェロン治療の有用性に関する研究」の報告.肝臓 53:237-242,2012
9)坪内博仁,井戸章雄,桶谷真,他:免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策:厚生労働省「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班劇症肝炎分科会および「肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究」班合同報告.肝臓 50:38-42,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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