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検査と技術41巻4号

2013年04月発行

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トピックス

ABO血液型遺伝子解析―日本人および韓国人の集団試料の比較

著者: 福森泰雄1 西向弘明2

所属機関: 1日本赤十字社近畿ブロック血液センター検査三課 2愛媛大学大学院病態解析学講座法医学分野

ページ範囲:P.308 - P.311

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はじめに

 ABO血液型は1900年,オーストリアのLandsteinerにより発見され,輸血医学はもとより法医学や人類学において重要な血液型で,最もよく知られた血液型である.ABO血液型の検査は血清学的に赤血球凝集反応を用いるため,判定が容易であり,輸血医学や法医学などで,多くのタイピングデータが得られている.そのため地域や集団ごとのABO血液型頻度も多数得られており,それらが地域や集団により異なることが古くから知られている.例えば,わが国ではA,O,B,AB型の頻度がおおよそ4:3:2:1と知られているが,他の国では必ずしも同じではない.欧米ではB型は比較的少ないし,アジアでは逆にB型は多く,また,中南米ではO型が非常に多い.

 ABO血液型だけでなく,近年,多くの遺伝子が解明され,それら遺伝子の多型が同様に集団間で異なることがさまざまな報告で明らかになっている.これらの事実は多くの多型をもつ遺伝子,HLA(human leukocyte antigen)型などで特に顕著で,ある遺伝子型やその組み合わせが集団を表す特徴的マーカーとなっており,人類学やヒトの移動の解析に利用されている.ABO遺伝子も多くの変異型を含む遺伝子型(アリル)が明らかになっており,また,標準的なA型や,O型,B型にも多型が存在することがわかっており,集団の違いにより,頻度だけでなくアリルの構成も異なることがわかっている.

 本稿では,ABO遺伝子型の新しいタイピング法を紹介するとともに,その方法を用いて日本人と韓国人のアリル構成を調査した結果を報告する.

参考文献

1)Yamamoto F, Clausen H, White T, et al : Molecular genetic basis of the histo-blood group ABO system. Nature 345:229-233,1990
2)Fukumori Y, Ohnoki S, Shibata H, et al : Suballeles of the ABO Blood Group System in Japanese population. Human Heredity 46:85-91,1996
3)Nishimukai H, Fukumori Y, Okiura T, et al : Genotyping of the ABO blood group system : anaylsis of nucleotide position 802 by PCR-RFLP and the distribution of ABO genotypes in a German population. Int J Leg Med 109:90-93,1996
4)Itoh Y, Mizuki N, Shimada T, et al : High-throughput DNA typing of HLA-A, -B, -C, and -DRB1 loci by a PCR-SSOP-Luminex method in the Japanese population. Immunogenetics 57:717-729,2005
5)西向弘明,沖浦達幸,辻村隆介,他:蛍光ビーズマイクロアレイシステム(Luminex法)によるヒトABO遺伝子タイピング.DNA多型 18:204-208,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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