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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻5号

2013年05月発行

技術講座 生理

シリーズ 基礎から学ぶ神経伝導検査─信頼されるデータを導き出すために・2

感覚神経伝導検査

著者: 髙橋修1

所属機関: 1市川市リハビリテーション病院臨床検査科

ページ範囲:P.371 - P.376

文献概要

新しい知見

痛み刺激による痛覚検査:痛み刺激による痛覚認知に関連する研究は,主観的な要素が強く技術的に難しいことと,ある程度非侵襲的な方法を用いなければならないことで開発が遅れていた.また,痛みを誘発させるために皮膚侵害受容器を選択的に刺激できなければならないことが大きな問題点であった.

 近年,病院などの神経生理検査部門で通常に設置されている筋電計を利用し,特殊な機器を必要としない痛み刺激電極が表皮内刺激電極(Inter-epidermal electrical stimulation,IES電極)として,岡崎国立共同研究機構生理学研究所の乾幸二先生によって発明された.

 IES電極は,自由神経終末のある表皮内に短い針電極を刺し,そこに微弱な電流を流し,自由神経終末を興奮させる.痛覚にかかわる自由神経終末が表皮内で終わるのに対し,触覚にかかわる受容器はそれより深い層にあるため,表皮内を微弱な電流で刺激することによって自由神経終末のみの刺激が可能となり,Aδ線維を選択的に刺激できることになる.電極の形状は画鋲のようであるが,針電極は0.1mmと非常に短く,皮膚表面より刺入するが深さは一定であり,表皮には血管がないため電極刺入による出血はない.また,感染予防のため電極はディスポーザブルであり,安全である.

 臨床応用としては,簡易で安定した痛覚関連電位を検査することにより中枢性や末梢性の病態が明らかにされ,本稿で述べる感覚神経伝導検査や体性感覚誘発電位検査ほど一般的とはならないまでも,診療および治療の補助となることが期待される.

 本稿では日常臨床で行われている一般的な感覚神経伝導検査のコツや注意点について述べる.

参考文献

1)千野直一(編):臨床筋電図・電気診断学入門,第3版.医学書院,1997
2)才藤栄一:リハビリテーションにおける電気生理学入門.リハビリテーション医学 32:571-578,1995
3)木村淳:誘発電位と筋電図 理論と応用.医学書院,pp78-79,1990
4)シン・J・オー(著),白井康正(監訳):筋電図実践マニュアル:各種検査法の手技とデータ解釈,第1版.医学書院MYW,pp27-30,1996
5)木村淳,幸原伸夫:神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために.医学書院,2003
6)山内孝治:知っておきたい神経伝導検査 基本的な検査方法とその注意点.Medical Technology 30:532-538,2002
7)松浦雅人(編):臨床神経生理検査の実際.新興医学出版,2007
8)第15回臨床筋電図・電気診断学入門講習会テキスト,慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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