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雑誌文献

検査と技術41巻6号

2013年06月発行

文献概要

トピックス

卵巣癌の多くは卵管原発か

著者: 清川貴子1 岩本雅美2

所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院病態病理学 2千葉大学大学院医学研究院診断病理

ページ範囲:P.502 - P.504

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はじめに

 悪性卵巣腫瘍のなかで最も頻度が高いのは漿液性腺癌である.漿液性腺癌は,卵巣,卵管,子宮内膜,腹膜のいずれにも発生しうるが,卵巣原発とされるものの頻度が高いとされてきた.ところが近年,形態に加えて分子病理学的手法を含めた研究から,これまで卵巣や腹膜原発の漿液性腺癌とされてきたもののなかには,卵管癌の卵巣や腹膜への播種・転移例が含まれている可能性が示唆されるようになった.

 本稿では,卵巣高異型漿液性腺癌(high grade serous adenocarcinoma,HGSC)の発生に関する従来の考えと,卵管癌との関係に注目した最近の知見について述べる.

参考文献

1)日本産婦人科学会・日本病理学会(編):卵巣腫瘍取扱い規約 第1部 組織分類ならびにカラーアトラス,第2版.金原出版,2009
2)婦人科腫瘍委員会報告:2011年度卵巣腫瘍患者年報.日産婦誌 64:2340-2388,2012
3)清川貴子:卵管に関する最新知識を学ぶ 卵巣漿液性腺癌は卵管原発か? 産婦の実際 58:1347-1350,2009
4)Barakat RR, Federici MG, Saigo PE, et al : Absence of premalignant histologic, molecular, or cell biologic alterations in prophylactic oophorectomy specimens from BRCA1 heterozygotes. Cancer 89:383-390,2000
5)Medeiros F, Muto MG, Lee Y, et al : The tubal fimbria is a preferred site for early adenocarcinoma in women with familial ovarian cancer syndrome. Am J Surg Pathol 30:230-236,2006
6)Kindelberger DW, Lee Y, Miron A, et al : Intraepithelial carcinoma of the fimbria and pelvic serous carcinoma : Evidence for a causal relationship. Am J Surg Pathol 31:161-169,2007
7)前田大地,清川貴子:漿液性腺癌 特集卵巣腫瘍のトピックス.病理と臨 29:811-819,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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