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HER2検査の使い分けを教えてください
著者: 唐小燕1 増田しのぶ2
所属機関: 1日本大学医学部病態病理学系病理学分野 2日本大学医学部病態病理学系腫瘍病理学分野
ページ範囲:P.589 - P.593
文献購入ページに移動ヒト癌遺伝子HER2/neu (c-erbB-2)の遺伝子産物であるHER2蛋白は,ヒト上皮増殖因子受容体ファミリーに属する分子量約185kDaの膜貫通型蛋白質で二量体化することが知られている.HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)は,細胞外ドメイン,膜内ドメインおよび細胞内ドメインから構成され,細胞内ドメインにはチロシンキナーゼ活性領域が存在する1).リガンドと結合したHER2は,自己リン酸化を経て活性化され,p21/rasなどを下流エフェクターとするシグナル伝達経路を介して細胞の増殖に関与している.ヒト乳癌においては,約20%のヒト乳癌症例にHER2の高発現が認められている.
一方,トラスツズマブ(ハーセプチン®)はHER2の細胞外ドメインに特異的に結合し,NK(natural killer)細胞,単球を作用細胞とする抗体依存性細胞障害作用(antibody-dependent cell-mediated cytotoxity,ADCC)により抗腫瘍効果を発揮する2,3).
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