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文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻7号

2013年07月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈微生物〉

塗抹検査の精度管理

著者: 藤田拓司1 小松方2

所属機関: 1ファルコバイオシステムズ総合研究所検査三課 2天理医療大学医療学部臨床検査学科

ページ範囲:P.606 - P.610

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はじめに

 塗抹検査は,検体を直接スライドガラスに塗布し,生鮮あるいは染色して顕微鏡で観察する方法である.本法は簡便かつ迅速かつ安価に行える.一般的に,微生物(細菌や原虫など),生体内細胞や分泌物,寄生虫卵,結晶,異物などを観察する.最も簡便な方法は,直接塗抹法であり,寄生虫卵や原虫の検出に利用されている.また細菌検出を目的とする感染症検査では,グラム染色を基本染色として実施し,目的に応じてチールネルゼン染色やギムザ染色などを追加する.

 従来,塗抹検査は検体中の微生物の存在の確認を目的としていた.現在では,検体中に存在する微生物(細菌や原虫など)の把握だけでなく,フィブリンの存在や炎症細胞の形態などから感染病巣部の状況を把握することによって,起炎菌の有無や種類だけでなく病期や治療効果,炎症の種類まで読み取ることができるようになった1).塗抹標本の所見は,患者情報を念頭に置きながら,各種構造物の種類や形態および色調の微妙な変化を読み取り,適切なコメントを付加することが重要である.そのためには,検体採取から結果報告までのプロセスが総合的に精度管理されている必要がある.

 本稿では,感染症診断に重用されている代表的な塗抹検査(グラム染色や抗酸染色など)の精度管理について自験例を交えながら解説する.

参考文献

1)相原雅典:迅速診断,塗抹と抗原 その報告.菅野重治(監修):より良い感染症診療をめざして─検査報告のあり方.ライフ・サイエンス,pp15-30,2005
2)藤田拓司,小松方:染色法の精度管理.菅野治重,相原雅典,伊瀬恵子,他(編):顕微鏡検査ハンドブック─臨床に役立つ形態学.医学書院,pp29-31,2012
3)Jenkins SG, Sewell DL : Quality control (14.2) : Quality assurance, quality control, laboratory records, and water quality. Garcia LS (ed) : Clinical Microbiology Procedures Handbook, 3rd ed. ASM press, Washington, D. C., 2010
4)Anderson NL, Noble MA, Weissfeld AS, et al : Regulatory and accreditation issues : Quality System in the Clinical Microbiology Laboratory. Sewell, DL (ed) : Cumitech 3B. ASM Press, Washington D. C., pp3-8, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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