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Laboratory Practice 〈微生物〉
塗抹検査の精度管理
著者: 藤田拓司1 小松方2
所属機関: 1ファルコバイオシステムズ総合研究所検査三課 2天理医療大学医療学部臨床検査学科
ページ範囲:P.606 - P.610
文献購入ページに移動塗抹検査は,検体を直接スライドガラスに塗布し,生鮮あるいは染色して顕微鏡で観察する方法である.本法は簡便かつ迅速かつ安価に行える.一般的に,微生物(細菌や原虫など),生体内細胞や分泌物,寄生虫卵,結晶,異物などを観察する.最も簡便な方法は,直接塗抹法であり,寄生虫卵や原虫の検出に利用されている.また細菌検出を目的とする感染症検査では,グラム染色を基本染色として実施し,目的に応じてチールネルゼン染色やギムザ染色などを追加する.
従来,塗抹検査は検体中の微生物の存在の確認を目的としていた.現在では,検体中に存在する微生物(細菌や原虫など)の把握だけでなく,フィブリンの存在や炎症細胞の形態などから感染病巣部の状況を把握することによって,起炎菌の有無や種類だけでなく病期や治療効果,炎症の種類まで読み取ることができるようになった1).塗抹標本の所見は,患者情報を念頭に置きながら,各種構造物の種類や形態および色調の微妙な変化を読み取り,適切なコメントを付加することが重要である.そのためには,検体採取から結果報告までのプロセスが総合的に精度管理されている必要がある.
本稿では,感染症診断に重用されている代表的な塗抹検査(グラム染色や抗酸染色など)の精度管理について自験例を交えながら解説する.
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