icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術41巻9号

2013年09月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈生理〉

オシレーション法における呼吸インピーダンス測定の問題点―安静呼吸の見極め

著者: 内田明美1 伊藤理2 吉子健一1

所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門 2名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科

ページ範囲:P.794 - P.797

文献購入ページに移動
はじめに

 呼吸インピーダンス(呼吸抵抗およびリアクタンス)測定は,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患の呼吸機能を評価し,病態を解析するのに有用な検査法の1つである.その測定方法は,1956年にDuboisら1)によってはじめて報告された強制オシレーション法(forced oscillation technique,FOT)を原理としている.現在,日常臨床の場で広く普及している呼吸インピーダンス測定装置は,FOTをもとに開発されてきた2).わが国では,広帯域周波数振動波を用いた機器としてMostGraph-01®(以下,Most:Chest社)とMaster Screen IOSR(以下,IOS:Jaeger社)の2機種が普及しており3,4),当院ではMostを2010年4月から日常検査で運用している.

 最大努力を必要とするスパイロメトリーとは異なり,オシレーション法では安静呼吸で呼吸機能を測定できるため,小児や高齢者,呼吸困難度の高い被験者にも負担が小さいという利点がある.一方で,安静呼吸や測定精度をどのように評価したらよいか,検査技師にとって判断が難しい症例も存在する.

 本稿では,呼吸インピーダンス測定における測定法の概略と,測定時の問題点について使用経験に基づいた技師の視点から述べる.

参考文献

1)Dubois AB, Brody AW, Lewis DH, et al : Oscillation mechanics of lungs and chest in man. J Appl Physiol 8:587-594,1956
2)Hellinckx J, Cauberghs M, De Boeck K, et al : Evaluation of impulse oscillation system : comparison with forced oscillation technique and body plethysmography. Eur Respir J 18:564-570,2001
3)平井豊博,佐藤晋,三嶋理晃:IOSによる呼吸抵抗の評価.呼と循 51:1241-1244,2003
4)黒澤一:インパルスオシレーション法による肺メカニクス解析.呼吸 28:1083-1088,2009
5)Oostveen E, MacLeod D, Lorino H, et al : ERS Task Force on Respiratory Impedance Measurements. The forced oscillation technique in clinical practice : methodology, recommendations and future developments. Eur Respir J 22:1026-1041,2003
6)内田明美,吉子健一,伊藤理:呼吸抵抗測定におけるマウスピースの影響.検と技 40:198-199,2012
7)内田明美,伊藤理,吉子健一,他:オシレーション法による呼吸インピーダンス測定におけるマウスピースの影響について.医学検査 61:986-990,2012
8)村松礼子,望月博之:IOS(impulse oscillation system)法.小児診療 72:1276-1281,2009
9)塩田智美,藤井充弘,植木純,他:パルスオッシレーション法による肺末梢領域の換気力学的応答.呼と循 51:255-261,2003
10)五味ヒサ子,鹿間裕介,横山侑里絵,他:健常人の呼吸抵抗測定におけるIOSとMostGraphの比較について.医学検査 61:773-777,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら