icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻1号

2014年01月発行

文献概要

トピックス

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸癌予防ワクチン)と副反応

著者: 山岸由佳12 三鴨廣繁123

所属機関: 1愛知医科大学病院感染症科 2愛知医科大学病院感染制御部 3愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学

ページ範囲:P.8 - P.11

文献購入ページに移動
ヒトパピローマウイルス感染症とは

 ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus,HPV)には100種類以上の型があり,皮膚に疣贅を引き起こす皮膚型と,性器周辺に感染する粘膜型(約40種類)に大別される.粘膜に感染するHPVのうち,少なくとも15種類(16,18,31,33,35,39,45,51,52,56,58,59,68型など)が子宮頸癌などの悪性腫瘍症例で検出され,これらは「高リスク型HPV」と呼ばれている.特に子宮頸癌では90%以上でHPVが検出され,約65%は16型または18型である1)

 高リスク型HPVは性交渉によって感染し,子宮頸癌以外に,中咽頭癌,肛門癌,腟癌,外陰癌,陰茎癌などにも関与している2).子宮頸部の細胞に異常がなくても,10~20%の女性がHPVに感染しているという報告もあり,また,海外では性交渉歴のある女性の50~80%が生涯に一度はHPVに感染するとも報告されている1).HPVに感染しても,90%以上の場合,2年以内にウイルスは自然に排出されるとされているが,ウイルスが自然排出されず,数年から数十年にわたって持続感染した場合には,癌に進展しうることが報告されている.

参考文献

1)Onuki M, Matsumoto K, Satoh T, et al : Human papillomavirus infections among Japanese women : age-related prevalence and type-specific risk for cervical cancer. Cancer Sci 100:1312-1316,2009
2)De Vuyst H, Clifford GM, Nascimento MC, et al : Prevalence and type distribution of human papillomavirus in carcinoma and intraepithelial neoplasia of the vulva, vagina and anus : a meta-analysis. Int J Cancer 124:1626-1636,2009
3)Yoshikawa H, Matsukura T, Yoshiike K, et al : Human papillomavirus DNA in female condylomata. Nihon Sanka Fujinka Gakkai Zasshi 37:1225-1230,1985
4)川名敬,武谷雄二:HPVワクチンの有効性と限界.産と婦 75:1780-1787,2008
5)厚生労働省健康局結核感染症課,厚生労働省医薬食品局安全対策課:子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業における副反応報告と,薬事法における報告の違い.平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会配付資料参考資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034g8f-att/2r98520000034ho7_1.pdf)(2013年8月15日時点)
6)厚生労働省健康局結核感染症課,厚生労働省医薬食品局安全対策課:各ワクチンの副反応報告件数.平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会配付資料参考資料2-5(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034g8f-att/2r98520000034hsc_1.pdf)(2013年8月15日時点)
7)厚生労働省健康局長,厚生労働省医薬食品局長:定期の予防接種等による副反応の報告等の取扱いについて.健発0330第3号,薬食発0330第1号.平成25年3月30日(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-KouKouKouseika/0000014831.pdf)(2013年8月15日時点)
8)厚生労働省:子宮頸がん予防ワクチンQ&A 2013年6月改訂版.(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html)(2013年8月15日時点)
9)厚生労働省健康局結核感染症課,厚生労働省医薬食品局安全対策課:子宮頸がん予防ワクチン接種後の失神関連副反応について.平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会配付資料参考資料2-3(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034g8f-att/2r98520000034hry_1.pdf)(2013年8月15日時点)
10)厚生労働省健康局結核感染症課,厚生労働省医薬食品局安全対策課:子宮頸がん予防ワクチン接種後の疼痛関連症例等について.平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会配付資料参考資料2-8(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034g8f-att/2r98520000034hte_1.pdf)(2013年8月15日時点)
11)厚生労働省健康局長:ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種の対応について(勧告).健発0614第1号.平成25年6月14日(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034kbt-att/2r98520000034kn5_1.pdf)(2013年8月15日時点)
12)厚生労働省健康局結核感染症課疾病対策課:予防接種及び注射,採血等の医療における穿刺行為後の長期間持続する痛みに関する調査研究の実施について.平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会配付資料参考資料2-12(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000034g8f-att/2r98520000034hue_1.pdf)(2013年8月15日時点)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら