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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 2章 乳腺
3 乳腺線維腺腫―30歳代女性
著者: 森谷卓也1 中島一毅2
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学総合外科学
ページ範囲:P.934 - P.936
文献購入ページに移動30歳代前半,女性.5年前,右乳房外側にしこりを自覚し来院.触診では比較的硬く可動性良好な腫瘤を認めた.乳房超音波検査では,9時方向に境界明瞭な腫瘤がみられた→図1.この腫瘤は,縦横比の低い楕円形腫瘍として描出され,内部エコーはやや低~等で,比較的均質であった.また,一部には隔壁様のスペックルもみられた.後方エコーは増強しており,内部組成の減衰が低いことが推定された.穿刺吸引細胞診では,結合性良好で二相性を伴う分岐状の乳管成分と,周囲に双極裸核成分が混在しており,線維腺腫(管内型)が最も示唆された→図2.良性の判断のもとに経過観察となったが,5年後,しこりの増大・退縮いずれもなく気になるために,希望により腫瘤摘出術が行われた.腫瘍は長径3cm・充実性→図3で,病理組織診断は線維腺腫(管内型)であった→図4,5.
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