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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 2章 乳腺
4 放射状硬化性病変―70歳代女性
著者: 森谷卓也1 中島一毅2
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学総合外科学
ページ範囲:P.937 - P.939
文献購入ページに移動70歳代前半,女性.乳がん検診で異状を指摘されたため,精査目的で来院した.マンモグラフィでは左乳房上外側領域に腫瘤状変化を伴う構築の乱れがあり,カテゴリー4と判断された→図1.乳房超音波検査では,左乳房の1.5時方向に7mm大の腫瘤像を認めた→図2.辺縁は粗ぞうで,周囲に構築の乱れを伴い,前方境界線はなめらかだが,断裂が疑われた.また,内部エコーは低く,後方エコーは減弱していた.一部にはつり上げ現象もみられ,内部の線維成分が多いことが示唆された.エラストグラフィでも明らかに硬い腫瘤として描出された→図3.カテゴリー診断は4で,硬癌の可能性が疑われた.ダイナミックMRIでは早期造影され,wash outされる腫瘤像を呈していた→図4.穿刺吸引細胞診ではアポクリン化生を混じる良性乳管上皮が採取され→図5,針生検では乳頭状病変と間質の硬化性変化を伴う良性病変が疑われた.しかし,臨床的に悪性を完全に否定できないため,病巣部のprobe lumpectomyが実施された.肉眼的には7×5mmの不整形で境界が不明瞭な充実性腫瘤で,脂肪組織を巻き込むとともに,白色調を帯びた既存の乳腺実質を分断,かつそれらを引き込むように増殖していた→図6.しかし,最終的な病理組織学的検索によって放射状硬化性病変(良性)の確定診断が得られた→図7~9.
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