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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 2章 乳腺
6 粘液癌―40歳代女性
著者: 森谷卓也1 中島一毅2
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学総合外科学
ページ範囲:P.943 - P.945
文献購入ページに移動40歳代,女性.右乳房に腫瘤を自覚し来院.マンモグラフィでは乳腺濃度領域から突出するような,高濃度な多角形腫瘤があり,辺縁は微細分葉状でカテゴリー4と判断された.乳房超音波検査は,Bモードでは内部エコーが比較的均質で脂肪組織と区別が難しいが,よくみると多角形の腫瘤で,後方エコーはかなり増強していた→図1.ドプラ法では,多くはないが腫瘍内部に直線的なFlowをはっきりと認めた→図2.また,エラストグラフィでは周囲に比べかなり硬く,かつ均質な硬さをもった腫瘍と思われた→図3.造影MRIでは,早期から濃染され,漸像していく境界明瞭な腫瘤像であった.以上から乳癌疑いの診断で穿刺吸引細胞診を行い,粘液塊内に癌巣が浮遊する粘液癌の像を認めた→図4.手術標本の割面では,脂肪に囲まれるように境界が明瞭で分葉状の充実性腫瘍があり,その内部はゼラチン状を呈していた→図5.病理組織学的には純型の粘液癌で,粘液湖内に癌胞巣が浮遊していた→図6.核異型は中等,エストロゲン受容体陽性,HER2陰性であった.
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