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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 2章 乳腺
15 浸潤性小葉癌―50歳代女性
著者: 森谷卓也1 山本裕2 中島一毅3
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学乳腺甲状腺外科学 3川崎医科大学総合外科学
ページ範囲:P.968 - P.970
文献購入ページに移動50歳代,女性.乳房腫瘤を自覚し来院.超音波検査では左乳房に充実性の低エコー腫瘤を認めた→図1.縦横比が大きく,境界部は不明瞭で,前方境界線は断裂しており,haloを伴っていた.後方エコーは減弱し,カテゴリー5とされた.エラストグラフィでは低エコー域全体に青色調が目立ち,歪みはみられなかった→図2.また,ドプラでは腫瘍周囲に豊富な血流を認め,浅部から腫瘍に入り込む血管を認めた→図3.針生検で浸潤性小葉癌と診断され,乳房摘出術が施行された.肉眼的には乳腺実質~脂肪織内に境界が不明瞭な充実性の,やや透明感を有する腫瘤がみられた→図4.組織学的には,脂肪組織を巻き込むように浸潤する,58mm以下の多発癌で→図5,豊富な間質内に均質な癌細胞が細い索状胞巣を形成していた→図6.癌細胞相互の結合性はやや緩く,ときに細胞質内に粘液産生もみられた.癌細胞はエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体がともに陽性で,HER2は陰性であった.
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