icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻10号

2014年09月発行

文献概要

増刊号 超音波×病理 対比アトラス 4章 リンパ節・唾液腺ほか

4 後腹膜に発生したパラガングリオーマ―70歳代男性

著者: 柴﨑洋子1 秋田英貴1 鄭子文1

所属機関: 1公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院検査科

ページ範囲:P.1040 - P.1042

文献購入ページに移動
症例の概要

 70歳代,男性.肝機能障害(γ-GTP高値)のため近医で経過観察中に,腹部腫瘤を指摘され,精査目的で当院を受診した.高血圧および糖尿病の既往はない.頭痛や多汗などの自覚症状はなく,入院時検査で高血圧(153/96mmHg),高血糖(175mg/dL),血中カテコールアミンの上昇(アドレナリン0.64ng/mL,ノルアドレナリン1.30ng/mL,ドーパミン0.03ng/mL),尿中メタネフリン高値(1.80mg/day)および尿中ノルメタネフリン高値(0.91mg/day)を指摘された.超音波検査→図1,2,腹部CTなどで,腹部大動脈右方に境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.以上から,右後腹膜腫瘍の診断で腫瘍摘出術が施行された.病変は4.0×3.0×2.7cm大,全周性に線維性被膜を有し境界明瞭な黄白色軟の腫瘤で,一部暗赤色調を呈していた.囊胞変性はみられなかった→図3.組織診では,好酸性ないし淡明な細胞質を有し,核の大小不同や目立つ核小体を伴う腫瘍細胞が,充実性あるいは胞巣状に増殖するZellballen配列を呈していた.核分裂像は目立たなかった.間質成分は乏しく出血を伴っていた→図4,5.被膜浸潤はなく,脈管侵襲や転移は認められなかった.免疫組織化学的検索で,神経内分泌マーカーであるchromogranin A,synaptophysin,CD56,neuron specific enolase(NSE)が腫瘍細胞の胞体に陽性であった.捺印細胞診では,類円形の腫瘍細胞が散在性から一部小集塊で認められ,核に大小不同や大型核がみられ,クロマチンは顆粒状であった→図6.以上の所見より,パラガングリオーマと診断した.現在,当院外来にて経過観察中で,再発を認めない.

参考文献

1)Lack EE : Tumors of the adrenal gland and extra-adrenal paraganglia, Atras of Tumor Pathology, 3rd series, fascicle 19, AFIP, Wasington DC, 1997
2)木村伯子:副腎髄質・パラガングリア.日臨細胞会誌 34:126-132,1995
3)畠榮,大杉典子,鐡原拓雄,他:褐色細胞腫および傍神経節腫の塗抹細胞像.日臨細胞会誌 34:634-639,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら