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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 8章 腎・泌尿器
7 肉腫様膀胱癌(膀胱癌肉腫)―60歳代女性
著者: 寺畑信太郎1 田島尚美2
所属機関: 1市立砺波総合病院病理診断科 2市立砺波総合病院臨床検査科
ページ範囲:P.1170 - P.1172
文献購入ページに移動60歳代後半,女性.血尿を主訴として泌尿器科受診.既往歴では,40歳代に子宮癌で摘出術と放射線治療を受けている.2年前に進行胃癌で胃切除が施行されていた.経尿道膀胱超音波検査で進行性の膀胱腫瘍が指摘され→図1,尿細胞診では悪性腫瘍が疑われた→図2.膀胱鏡による組織生検で,肉腫が示唆されたため膀胱摘出術が施行された.肉眼的には膀胱左壁に長径約4cm大の亜有茎性腫瘍が認められた→図3,4.組織学的には,腫瘤の大半は多形性に富む紡錘状の腫瘍細胞が花むしろ状配列を示しながら束状に錯綜する像からなり→図5a,巨細胞の出現や炎症細胞浸潤を伴っていた.免疫染色ではケラチン,EMAなど上皮性マーカーは陰性で,軟部腫瘍で認められるMFH(malignant fibrous histiocytoma)を思わせる像であった.浸潤は膀胱筋層内に及んでいた.腫瘍をよく観察したところ腫瘤の表層のびらんをまぬがれた部分にsquamous cell carcinomaの像が認められ→図5b,最終的に肉腫様癌(いわゆる癌肉腫)と診断された.
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