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増刊号 超音波×病理 対比アトラス 8章 腎・泌尿器
8 膀胱原発MALTリンパ腫―80歳代男性
著者: 寺畑信太郎1 田島尚美2
所属機関: 1市立砺波総合病院病理診断科 2市立砺波総合病院臨床検査科
ページ範囲:P.1173 - P.1175
文献購入ページに移動80歳代,男性.胃潰瘍の既往があり,その経過観察で施行されたCTで,膀胱憩室および膀胱壁の肥厚を指摘され,当院泌尿器科を紹介受診した.慢性膀胱炎の診断にて加療され,膀胱憩室に対しては電気凝固が行われ,憩室は消失し残尿の改善がみられたが,膿尿は続いていた.再度他科で施行されたCTで膀胱腫瘤が指摘されたため,泌尿器科にて再精査が行われた.経腹部膀胱超音波検査では膀胱後壁に部分的にエコーレベルの高い膀胱粘膜の不均一な肥厚が認められた→図1.ドプラ法では内部に比較的豊富な血流信号が得られ,悪性腫瘍が指摘された→図2.浸潤性膀胱癌が疑われたが,尿細胞診は疑陽性→図3で,膀胱鏡では粘膜の浮腫状変化を伴う限局性肥厚を認め,通常みられる尿路上皮癌とは異なり,粘膜下腫瘍を思わせる像であった→図4.TUR-BTによる腫瘤の組織生検では,上皮下に小型~中型異型リンパ球の密な結節状~びまん性増殖像が認められた→図5,6.免疫染色では,これらの異型リンパ球はCD3(-),CD5(-),CD10(-),CD20(+),CD79a(+),CD43(+),bcl-2(+)で,免疫グロブリンの軽鎖はkappa>lambdaを示した→図7.遺伝子検査(PCR法)にてIgκ遺伝子,Ig H遺伝子に再構成が認められ,これらの結果と併せ,膀胱原発のMALTリンパ種と診断された.
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