文献詳細
病気のはなし
文献概要
Point
●成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染細胞が腫瘍化して発症する疾患である.ATLを発症するのはHTLV-1感染者の約5%であるが,化学療法に対する反応は不良であり,造血細胞移植,抗CCR4抗体などの新規分子標的薬剤の導入による予後の改善が期待されている.
●HTLV-1感染者の分布が全国に広がり,九州のみではなく全国的に遭遇する可能性があることを念頭に置く必要がある.
●ATLの腫瘍細胞は花細胞(flower cell)が典型的であるが,異形性の軽い細胞も多く,慎重な鏡検による判断が必要である.
●成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染細胞が腫瘍化して発症する疾患である.ATLを発症するのはHTLV-1感染者の約5%であるが,化学療法に対する反応は不良であり,造血細胞移植,抗CCR4抗体などの新規分子標的薬剤の導入による予後の改善が期待されている.
●HTLV-1感染者の分布が全国に広がり,九州のみではなく全国的に遭遇する可能性があることを念頭に置く必要がある.
●ATLの腫瘍細胞は花細胞(flower cell)が典型的であるが,異形性の軽い細胞も多く,慎重な鏡検による判断が必要である.
参考文献
1)内丸薫:HTLV-1キャリア対応・ATL診療の問題点.臨血 52:1432-1438,2011
2)渡辺恵理,佐藤奈津子,渡辺信和:臨床への応用—患者の病態をリアルタイムで可視化する.中内啓光(監修),清田純(編):実験医学別冊 直伝フローサイトメトリー.羊土社,pp110-121,2014
3)Kobayashi S, Nakano K, Watanabe E, et al : CADM1 Expression and Stepwise Downregulation of CD7 Are Closely Associated with Clonal Expansion of HTLV-1-Infected Cells in Adult T-cell Leukemia/Lymphoma. Clin Cancer Res 20:2851-2861, 2014
4)Shimoyama M:Diagnostic criteria and classification of clinical subtypes of adult T-cell leukaemia-lymphoma. A report from the Lymphoma Study Group (1984-87). Br J Haematol 79:428-437,1991
5)Takasaki Y, Iwanaga M, Imaizumi Y, et al:Long-term study of indolent adult T-cell leukemia-lymphoma. Blood 115:4337-4343,2010
6)塚崎邦弘:成人T細胞白血病・リンパ腫.日臨 72:531-537,2014
1)渡辺俊樹,上平憲,山口一成(編):HTLV-1と疾患,第1版.文光堂,2007
掲載誌情報