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基礎から学ぼう一般検査・11
精液検査
著者: 佐藤和文1
所属機関: 1一般社団法人日本臨床エンブリオロジスト学会
ページ範囲:P.1408 - P.1412
文献購入ページに移動はじめに
精液検査は尿検査と同様に体外へ排出(射精)された液を検査し,上流の状態(造精機能)を推定するものである.留意点は他の検査と異なっており,生きた細胞を検査することである.
精子は精巣の精細管で形成され,精巣上体に副生殖腺液とともに精子濃縮懸濁液として蓄積される.射精時には精巣上体から出て,総量約90倍量の精嚢腺液・前立腺液・カウパー(Cowper)腺液が加わって精液として射精される.精液は被検者の体調を含め造精部位の変動,各腺分泌液との比率,禁欲期間などによって大幅な濃度差を生じる.
精液検査では細胞数,形態と同様に運動性をみることも大切である.通常の血球計算盤は計測室底面に格子を刻んであるため,格子線によって自由な運動が阻害される.そのため,精液検査用に開発されたマクラー(Makler)計算盤の格子線は,精子運動を阻害しないよう計測室の天井にあたるカバーガラスに刻まれている.マクラー計算盤は精子濃度,運動率,直進率などを計測できるが,運動精子・不動精子・奇形精子などを瞬時に判断して計測しなければならないので,使用にあたっては十分な訓練を必要とする.
運動精子を含め,計測するコツは“気象情報の読み方”であり,地図に合わせた雲の動きをみる気象レーダーを想像し,計測区画に想像した縦または横の直線を移動させ,その線にかかった精子を計測する.ヒトの目は動くものにとらわれる傾向があるので,とらわれずに計測できる訓練が必要である.
無精子の確認については液化した全精液をスピッツに入れ,3,000Gで15分間遠心後,上清を除去し全沈渣をピペットでシャーレに入れて鏡検する.精子が皆無なら無精子(azoospermia),数個なら隠れ無精子(cryptozoospermia),全量○mL中○個,1mL中○個などを報告する.造精機能は予想以上にデリケートで,数カ月前からの疲労やストレスの蓄積,喫煙,高熱,薬物,放射線などにも影響される.
精液検査は尿検査と同様に体外へ排出(射精)された液を検査し,上流の状態(造精機能)を推定するものである.留意点は他の検査と異なっており,生きた細胞を検査することである.
精子は精巣の精細管で形成され,精巣上体に副生殖腺液とともに精子濃縮懸濁液として蓄積される.射精時には精巣上体から出て,総量約90倍量の精嚢腺液・前立腺液・カウパー(Cowper)腺液が加わって精液として射精される.精液は被検者の体調を含め造精部位の変動,各腺分泌液との比率,禁欲期間などによって大幅な濃度差を生じる.
精液検査では細胞数,形態と同様に運動性をみることも大切である.通常の血球計算盤は計測室底面に格子を刻んであるため,格子線によって自由な運動が阻害される.そのため,精液検査用に開発されたマクラー(Makler)計算盤の格子線は,精子運動を阻害しないよう計測室の天井にあたるカバーガラスに刻まれている.マクラー計算盤は精子濃度,運動率,直進率などを計測できるが,運動精子・不動精子・奇形精子などを瞬時に判断して計測しなければならないので,使用にあたっては十分な訓練を必要とする.
運動精子を含め,計測するコツは“気象情報の読み方”であり,地図に合わせた雲の動きをみる気象レーダーを想像し,計測区画に想像した縦または横の直線を移動させ,その線にかかった精子を計測する.ヒトの目は動くものにとらわれる傾向があるので,とらわれずに計測できる訓練が必要である.
無精子の確認については液化した全精液をスピッツに入れ,3,000Gで15分間遠心後,上清を除去し全沈渣をピペットでシャーレに入れて鏡検する.精子が皆無なら無精子(azoospermia),数個なら隠れ無精子(cryptozoospermia),全量○mL中○個,1mL中○個などを報告する.造精機能は予想以上にデリケートで,数カ月前からの疲労やストレスの蓄積,喫煙,高熱,薬物,放射線などにも影響される.
参考文献
1)World Health Organization:WHO laboratory manual for the examination of human semen, 5th ed. (http://whqlibdoc.who.int/publications/2010/9789241547789_eng.pdf)
1)佐藤和文:計算盤を使用した精子数算定法.J Clin Embryol 11:18-20,2009
2)森崇英,他(編):コメディカルARTマニュアル,第1版.永井書店,2006
3)菊池春人,他(編),伊藤機一,他(監修):一般検査ポケットマニュアル—必須検査の進めかたと見かた.羊土社,2009
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