雑誌詳細
文献概要
Laboratory Practice 〈微生物〉
各種グラム染色法の特徴と使用法
著者: 小栗豊子1
所属機関: 1亀田総合病院臨床検査部
ページ範囲:P.177 - P.185
はじめに
グラム(Gram)染色は,1884年にHans Christian Joachim Gram(デンマークの学者)がドイツのベルリンで最初に考案した染色法とされている.グラム染色では,紫色に染色されるグラム陽性菌と,赤色に染色されるグラム陰性菌を識別するが,この性質は抗菌薬の効き方と密接に関連していることから,感染症患者検体を染色し,起炎菌を推定することによって,初期治療に用いる抗菌薬を選択することができる.
グラム染色は,培養した細菌や真菌の染色にもなくてはならないものであり,グラム染色性と形態からどんな同定法を用いるかが決定される.
上記のように細菌検査に不可欠なグラム染色であるが,本法には種々の改良が加えられてきた.現在では,ハッカー(Hucker)の変法,バルトロマイ(バースロミュー)・ミッター(Bartholomew&Mittwer)の変法(以下,バーミー法),西岡の方法(以下,フェイバー法)が用いられている.
本稿では,まずグラム染色の原理に触れ,次いで,これらの染色法の特徴について述べる.また,グラム染色では鏡検の技術や,その結果の解釈(感染症の有無の推定,菌種や菌属の推定)も重要であることから,これらについても解説する.
グラム(Gram)染色は,1884年にHans Christian Joachim Gram(デンマークの学者)がドイツのベルリンで最初に考案した染色法とされている.グラム染色では,紫色に染色されるグラム陽性菌と,赤色に染色されるグラム陰性菌を識別するが,この性質は抗菌薬の効き方と密接に関連していることから,感染症患者検体を染色し,起炎菌を推定することによって,初期治療に用いる抗菌薬を選択することができる.
グラム染色は,培養した細菌や真菌の染色にもなくてはならないものであり,グラム染色性と形態からどんな同定法を用いるかが決定される.
上記のように細菌検査に不可欠なグラム染色であるが,本法には種々の改良が加えられてきた.現在では,ハッカー(Hucker)の変法,バルトロマイ(バースロミュー)・ミッター(Bartholomew&Mittwer)の変法(以下,バーミー法),西岡の方法(以下,フェイバー法)が用いられている.
本稿では,まずグラム染色の原理に触れ,次いで,これらの染色法の特徴について述べる.また,グラム染色では鏡検の技術や,その結果の解釈(感染症の有無の推定,菌種や菌属の推定)も重要であることから,これらについても解説する.
参考文献
1)小栗豊子(編):臨床微生物検査ハンドブック,第4版.三輪書店,pp20-26,2011
2)伝染病研究所学友会(編):細菌学実習提要.丸善出版,pp119-135,1951
3)松友淳,男澤千啓,勝田聡,他:手動グラム染色キットの検討.臨と微生物 40:457-461,2013
4)西岡光夫:新しいグラム染色法.衛検 31:943-948,1982
5)小倉加奈子,三宅紀子,小栗豊子:研修医のための臨床検査・病理超マニュアル.羊土社,pp158-190,2013
掲載雑誌情報