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文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻3号

2014年03月発行

文献概要

トピックス

臨床検査のグローバルハーモナイゼーション

著者: 濱﨑直孝1

所属機関: 1長崎国際大学薬学部

ページ範囲:P.200 - P.202

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はじめに

 1960年ごろから,生化学,免疫学,血液学など生命科学研究が盛んになり,その成果を利用することで,経験だけではなく臨床検査データを分析し,科学的に診断治療を行う医療環境が整備され始めた1).現在では,臨床検査データは医師にとっての重要な羅針盤となり,臨床検査データを有効に利用することなく医療を行うことは,目隠しをして車を運転するような危険な行為となっている2,3)

 臨床検査測定値に関しては,患者に接して診断・治療を行っている医師などと,臨床検査検体を分析・定量している臨床検査関係者の間では,比較的最近に至るまでの長い間,その認識は随分と違っていた.患者に接している医師らは,臨床検査測定値の重要さは認識していても,それぞれの病院内の検査測定値が「あまり“ばらつかず”ある程度“正確”に測定されていれば」それぞれの患者の診断・治療には十分であり,その測定値が病院間や国内的・国際的に標準化(standardization)されていなくても何ら支障がないと受け止められてきた.

 しかし,生命科学研究が盛んになり,科学的医療が浸透してくるにつれて,臨床検査測定値を判断基準とした診断や治療に関するガイドラインの設定などが行われ始め,臨床検査測定値の相互比較の重要性,言い換えれば,臨床検査測定値標準化の重要性が医療関係者に幅広く認識されるようになってきた.

参考文献

1)Hamasaki N : The Analysis of Biocatalysis : The Development of Clinical Enzymology. Senses, Sensors and Systems. A Journey through the History of Laboratory Diagnosis. F. Hoffmann-La Roche, pp192-198, 2004
2)濱﨑直孝:検査医からのコラム 医療における臨床検査の役割.テクノ・スズタ社,2011(http://www.technosuzuta.co.jp/essay/)
3)濱﨑直孝,上平憲:医療の羅針盤─臨床検査を語る.長崎文献社,2014
4)Greg Miller W, Myers GL, Lou Gantzer M, et al : Roadmap for harmonization of clinical laboratory measurement procedures. Clin Chem 57:1108-1117,2011
5)AACC : Position Statement : Harmonization of Clinical Laboratory Test Results. 2013
6)Kinoshita S, Toyofuku M, Iida H, et al : Standardization of laboratory data and establishment of reference intervals in the Fukuoka Prefecture : a Japanese perspective. Clin Chem Lab Med 39:256-262,2001
7)日本臨床衛生検査技師会:平成23年度日臨技臨床検査データ標準化事業報告書.2012
8)篠原克幸:平成24年度多項目実用参照物質委員会報告.日臨検標準会誌 28:18-20,2013
9)濱崎直孝:国際的な標準化活動とJSCC.臨検58:150-155,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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