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文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻3号

2014年03月発行

文献概要

ワンポイントアドバイス

閉塞性肥大型心筋症の圧較差を正しく評価するには?

著者: 鈴木博英1

所属機関: 1東京臨海病院中央施設部臨床検査科生理検査室

ページ範囲:P.244 - P.247

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はじめに─HCMとは?

 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy,HCM)は明らかな心肥大をきたす,原因なく左室ないしは右室心筋の心肥大をきたす疾患であり,不均一な心肥大を呈するのが特徴である.

 心エコー図検査所見では,非均等型の左室壁肥厚(asymmetric left ventricular hypertrophy)を認める.従来,用いられてきた非対称性中隔肥厚(asymmetric septal hypertrophy,ASH:心室中隔壁厚/左室後壁厚比が1.3以上)という言葉は,Mモード心エコー図が中心の時代には最も重要な所見であった.しかし,肥大は心室中隔だけではなく,左室前壁,後壁,側壁,心尖部,右室などに局在する.また,全周性に肥大を認めることもある.断層心エコー図でASHを呈さない形態があることを考えると,非均等型の左室壁肥厚と表現するべきである.

 肥大様式の分類としてMaron分類が用いられることがあるが1),肥厚のパターン分類と予後との間に関連はみられない.一方で,肥厚の程度は突然死のリスクと直接関係があり,壁厚が30mm以上となる肥大は突然死のリスクが高いとされている2).断層心エコー図では,前側壁領域は肺が被りやすく,不鮮明となって過小評価することがあるので,十分な注意が必要とされる.

参考文献

1)Maron BJ, Gottdiener JS, Epstein SE : Patterns and significance of distribution of left ventricular hypertrophy in hypertrophic cardiomyopathy. A wide angle, two dimensional echocardiographic study of 125 patients. Am J Cardiol 48:418-428,1981
2)循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告).肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版).(http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_doi_h.pdf)
3)Maron BJ : Hypertrophic cardiomyopathy : a systematic review. JAMA 287:1308-1320,2002
4)Maron MS, Olivotto I, Betocchi S, et al : Effect of left ventricular outflow tract obstruction on clinical outcome in hypertrophic cardiomyopathy. N Engl J Med 348:295-303,2003
5)Braunwald E(ed) : Heart Disease : A Textbook of Cardiovascular Medicine, 5th ed. WB Saunders Company, Philadelphia, p1420, 1997
6)島孝友:左室流出路閉塞の病態評価.中川雅夫(監修),東秋弘,中村隆志,平崎智士(編):肥大型心筋症.金芳堂,pp115-127,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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