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閉塞性肥大型心筋症の圧較差を正しく評価するには?
著者: 鈴木博英1
所属機関: 1東京臨海病院中央施設部臨床検査科生理検査室
ページ範囲:P.244 - P.247
文献購入ページに移動肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy,HCM)は明らかな心肥大をきたす,原因なく左室ないしは右室心筋の心肥大をきたす疾患であり,不均一な心肥大を呈するのが特徴である.
心エコー図検査所見では,非均等型の左室壁肥厚(asymmetric left ventricular hypertrophy)を認める.従来,用いられてきた非対称性中隔肥厚(asymmetric septal hypertrophy,ASH:心室中隔壁厚/左室後壁厚比が1.3以上)という言葉は,Mモード心エコー図が中心の時代には最も重要な所見であった.しかし,肥大は心室中隔だけではなく,左室前壁,後壁,側壁,心尖部,右室などに局在する.また,全周性に肥大を認めることもある.断層心エコー図でASHを呈さない形態があることを考えると,非均等型の左室壁肥厚と表現するべきである.
肥大様式の分類としてMaron分類が用いられることがあるが1),肥厚のパターン分類と予後との間に関連はみられない.一方で,肥厚の程度は突然死のリスクと直接関係があり,壁厚が30mm以上となる肥大は突然死のリスクが高いとされている2).断層心エコー図では,前側壁領域は肺が被りやすく,不鮮明となって過小評価することがあるので,十分な注意が必要とされる.
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