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文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻3号

2014年03月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈微生物〉

PK-PDブレイクポイント―有効な抗菌薬投与法を選択するための指標

著者: 猪川和朗1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬保健学研究科臨床薬物治療学

ページ範囲:P.256 - P.260

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抗菌薬のPK-PDとブレイクポイント

 抗菌薬の薬物動態(pharmacokinetics,PK)とは,投与法と薬物濃度との関係性を示し,代表的なPKパラメータ例は最高薬物濃度(maximum drug concentration,Cmax)である.一方,抗菌薬の薬力学(pharmacodynamics,PD)とは,薬物濃度と抗菌作用との関係性を示し,代表的なPDパラメータ例は最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration,MIC)である.

 PKとPDの両者を組み合わせた,すなわち抗菌薬投与法と抗菌作用との関係性を示すPK-PDパラメータには,①抗菌薬CmaxのMICに対する比(Cmax/MIC),②抗菌薬濃度がMICを超えている時間の割合(time above MIC:T>MIC),③抗菌薬濃度-時間曲線下面積(area under the curve,AUC)のMICに対する比(AUC/MIC)の,3つがある.

参考文献

1)小松方,中村彰宏,相原雅典,他:Pharmacokinetics/pharmacodynamics parameter算出プログラムの開発と,MIC値を活用した新しい感染症治療ガイドライン作成の試み―特にtime above the MICによって評価される抗菌薬を対象に.Jpn J Antibiot 56:697-704,2003
2)笹野正明,堀光広,永田孝久:Pharmacokinetics(PK)/pharmacodynamics(PD)理論を用いた薬剤感受性試験成績の報告について.医学検査 57:190-194,2008
3)二木芳人,河野茂,渡辺彰,他:第2回日本化学療法学会分離菌感受性調査(2007年度)における呼吸器感染症分離菌のβ-ラクタム系抗菌薬感受性に関する解析―PK-PDブレイクポイントの観点から.Jpn J Antibiot 62:203-213,2009
4)戸塚恭一,山口惠三(監修),三鴨廣繁:抗菌薬のPK-PDデータブック―投与レジメン選択の手引き 注射薬編.ユニオンエース,2007
5)戸塚恭一,三鴨廣繁(監修),宮崎修一,森田邦彦,山岸由佳:日常診療に役立つ抗感染症薬のPK-PD.ユニオンエース,2010
6)渡辺彰,藤村茂(編):抗菌薬PK-PD実践テクニック.南江堂,2010
7)呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会:成人院内肺炎診療ガイドライン.日本呼吸器学会,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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