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技術講座 病理
p16免疫染色とその意義
著者: 福田利夫1 吉田朋美1
所属機関: 1群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学領域
ページ範囲:P.454 - P.463
文献購入ページに移動●子宮頸部病変でのp16免疫染色の染色性は特異的であり,異形成や癌部分のみが明瞭に陽性となる.今まで,異形成や癌に補助的なマーカーがなかった子宮頸部の組織診断および,細胞診の精度向上に有用である.
●認識抗原:サイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビターの1つで,細胞周期の調節において中心的な役割を果たす癌抑制遺伝子(p16)蛋白である.
●染色パターン:核が陽性である.
●正常細胞での発現:正常では,胎児期には胸腺のみに,成人では増殖期内膜,乳腺,胃,食道扁平上皮,唾液腺,一部の神経内分泌細胞が陽性になるとされる.
●子宮頸部病変診断への応用:さまざまな腫瘍での過剰発現が知られているが,その代表的なものが子宮頸癌であり,特異性や感度が非常に高く,HSILおよび浸潤癌,さらに腺癌が陽性となる.また,組織学的に上皮の上部1/3に陽性像がみられるのはCIN2,3の指標であり,頸部の腺癌はびまん性に陽性,子宮内膜癌は陰性ないし一部のみ陽性であるため,子宮頸部腺癌との鑑別に有用であるという報告もある.
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