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下部胆管癌(総胆管癌)
著者: 小保方和彦1 鈴木由美1 手島伸一1 山下智2
所属機関: 1同愛記念病院研究検査科 2同愛記念病院外科
ページ範囲:P.510 - P.510
文献購入ページに移動70歳代,男性.尿の色が濃くなったことを自覚し来院.精査にてビリルビン尿を認め,生化学的にはT-Bil 3.72mg/dL,D-Bil 2.18mg/dL,CA19-9 162.1U/mLと高値を示した.腹部超音波で胆管が拡張しているが,下部胆管は腫瘍を疑うエコー像により途絶して見える.パワードプラでは腫瘍に血流は乏しかった.胆嚢は腫大しているが,壁肥厚はみられない.これらの所見より,下部胆管の腫瘍による閉塞性黄疸が考えられた.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography,ERCP)時に採取された胆汁と胆管擦過細胞診では,核の腫大と大小不同,核形不整が目立つ異型細胞を認めた.細胞集塊の配列は乱れ,集塊辺縁の不整像や孤在性の細胞もみられ,腺癌を疑った.膵頭十二指腸切除標本では,下部胆管に3cmの長さにわたって内腔が狭窄し,壁の肥厚がみられ,上流の胆管は拡張していた.組織学的には,管状や乳頭状の腺を形成し浸潤する高分化腺癌であった.癌はわずかながら膵実質まで浸潤していた.
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