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乳腺線維症
著者: 森谷卓也1 山本裕2
所属機関: 1川崎医科大学病理学2 2川崎医科大学乳腺甲状腺外科
ページ範囲:P.553 - P.553
文献購入ページに移動70歳代,女性.左乳房A領域に腫瘤を指摘されて来院.超音波検査では,左乳腺11時方向に境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた(図1).後方エコーは減弱し,前方境界線は保たれており,内部に点状高エコーはみられず,カテゴリー3とされた.画像上,癌が否定できないために針生検を施行したが,萎縮乳腺が採取されるのみであった.患者本人の希望もあり,probe lumpectomyが施行された.肉眼的には,長径約20mm,灰白色で硬い充実性の腫瘤であった(図2).病理組織学的には,硝子様の厚い膠原線維とともに,萎縮乳腺とごく少量の脂肪組織混在が認められた(図3).上皮に異型はみられず,乳管や小葉の周囲に炎症反応は目立たなかった.以上より乳腺線維症と診断された.さらに,強拡大像では,核が腫大した間質細胞が散在しており(図4),検査データを確認したところ血糖値が高く,diabetic mastopathyの可能性が示唆された.
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