icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術42巻7号

2014年07月発行

文献概要

トピックス

HbA1c測定における遠心操作の影響

著者: 宮下徹夫1

所属機関: 1日本大学医学部附属板橋病院臨床検査部

ページ範囲:P.640 - P.643

文献購入ページに移動
はじめに

 ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c:HbA1c)は糖尿病関連マーカーとして重要な検査項目である.生体内でHbA1cは非酵素的な2段階の反応によって生成される.まず,ヘモグロビンのβ鎖N末端のアミノ基とグルコースのアルデヒド基とがシッフ(Schiff)塩基結合して,不安定型HbA1cとも呼ばれるアルジミン体が短時間のうちに形成される.次いで,長い時間経過のなかでアルジミン体はアマドリ転位によって安定なケトアミン体のHbA1cとなる.このようにして生成されたHbA1cは過去1~3カ月間の平均血糖値を反映するので,糖尿病の診断や血糖コントロールの指標として広く利用されている.

 また,最近では,世界中で利用されているNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値を用いる国際標準化も実施され,海外のデータと互換性が得られるようになった.しかし,日常検査で正しいHbA1c測定値を得るためには,血液を試料として用いるが故の注意点も多い.本稿では,それらのうち,血液を遠心してHbA1c測定に用いる場合の注意点について述べる.

参考文献

1)福田嘉明,宮下徹夫,山舘周恒,他:ラテックス凝集免疫比濁法によるヘモグロビンA1c測定条件の検討 日立7150形自動分析装置における測定条件について.医学検査 46:1753-1756,1997
2)諸熊由子,増本道子,小野美由紀,他:酵素法を用いたHbA1c測定試薬「サンクHbA1c」の基礎的検討.日臨検自動化会誌 34:238-241,2009
3)Nakashima K, Nishizaki O, Andoh Y, et al : Glycated hemoglobin in fractionated erythrocytes. Clin Chem 35:958-962,1989
4)宮下徹夫,永瀬昌史,亀井喜恵子,他:ヘモグロビンA1c測定に用いる血液試料の検討―遠沈された検体の赤血球層を試料とする場合の問題点について.日臨検自動化会誌 29:181-189,2004
5)白井秀明,桑克彦,飯塚儀明,他:血糖測定用全血試料の前処理方法と試料の取扱いに関する指針(Ver.1.6:2013-2-5).臨化 42:177-190,2013
6)宮下徹夫,山舘周恒,中山智祥:遠沈後の赤血球層を試料とするHbA1c測定における溶血の影響.日臨検自動化会誌 39:328-334,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?