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HbA1c測定における遠心操作の影響
著者: 宮下徹夫1
所属機関: 1日本大学医学部附属板橋病院臨床検査部
ページ範囲:P.640 - P.643
文献購入ページに移動ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c:HbA1c)は糖尿病関連マーカーとして重要な検査項目である.生体内でHbA1cは非酵素的な2段階の反応によって生成される.まず,ヘモグロビンのβ鎖N末端のアミノ基とグルコースのアルデヒド基とがシッフ(Schiff)塩基結合して,不安定型HbA1cとも呼ばれるアルジミン体が短時間のうちに形成される.次いで,長い時間経過のなかでアルジミン体はアマドリ転位によって安定なケトアミン体のHbA1cとなる.このようにして生成されたHbA1cは過去1~3カ月間の平均血糖値を反映するので,糖尿病の診断や血糖コントロールの指標として広く利用されている.
また,最近では,世界中で利用されているNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値を用いる国際標準化も実施され,海外のデータと互換性が得られるようになった.しかし,日常検査で正しいHbA1c測定値を得るためには,血液を試料として用いるが故の注意点も多い.本稿では,それらのうち,血液を遠心してHbA1c測定に用いる場合の注意点について述べる.
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