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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻1号

2015年01月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

抗血小板薬モニタリングの意義と現状に関して教えてください

著者: 佐藤金夫1

所属機関: 1山梨大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.64 - P.66

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はじめに

 薬物療法では,その治療効果を判定するために検査値が用いられることがある.例えば,降圧薬における血圧測定,血糖降下薬における血糖値やヘモグロビンA1c,高脂血症治療薬におけるコレステロールや中性脂肪などが挙げられる.これらの検査によって薬効モニタリングをしながら,服薬量の調整・維持が行われている.血栓症の治療には抗凝固療法と抗血小板療法があり,前者はワーファリンが治療に用いられ,PT-INR(prothrombin time-international normalized ratio)あるいはトロンボテストで薬効モニタリングされている.後者はアスピリン,クロピドグレル,プラスグレル,シロスタゾールなどが治療に用いられているが,薬効モニタリングの実施は一部の施設にとどまっている.

 1993年にGrotmeyerらが,アスピリンを服用しているにもかかわらず,血小板凝集が十分に抑制されていない患者の存在を報告して以来,同様の報告がなされ,現在ではこのような患者を反応性が高い患者群HPR(high platelet reactivity),レジスタンス,不応性などと呼んでいる.これらの患者においては心血管イベントの発症率が高いことから,抗血小板療法の際に薬効モニタリングを行う必要があるか否か,世界的に議論されている.

参考文献

1)Breet NJ, van Werkum JW, Bouman HJ, et al : Comparison of platelet function tests in predicting clinical outcome in patients undergoing coronary stent implantation. JAMA 303:754-762,2010
2)佐藤金夫:抗血小板療法における血小板凝集能検査を利用した薬効モニタリングの実際.日血栓止血会誌 17:424-429,2006
3)佐藤金夫:全血を測定試料とする血小板機能評価法.日血栓止血会誌 23:288-293,2012
4)Stone GW, Witzenbichler B, Weisz G, et al : Platelet reactivity and clinical outcomes after coronary artery implantation of drug-eluting stents (ADAPT-DES) : a prospective multicentre registry study. Lancet 382:614-623,2013
5)佐藤金夫,尾崎由基男:抗血小板療法患者の薬効モニタリング.月刊循環器Circulation 12:52-61,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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