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増刊号 血液形態アトラス Ⅰ部 造血器悪性腫瘍 2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
1 慢性骨髄性白血病(CML)
著者: 増田亜希子1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.914 - P.917
文献購入ページに移動1.CMLの病期
無治療のCMLは,3〜5年の慢性期(chronic phase:CP)を経て,移行期(accelerated phase:AP),急性転化期(blast phase:BP)へと移行する.CPでは骨髄球以降の顆粒球系細胞の増加が著明で,白血球や血小板の増加を来す.AP,BPと移行するにつれ,幼若細胞が増加する.末梢血または骨髄の芽球比率≧20%の場合は,BPと診断する.CMLの多くの症例で脾腫を来すが,無症状の場合が多いため,健康診断等で白血球増加を指摘されて受診するケースが多い.
2.CMLの治療とPCRによるモニタリング
CMLの治療には,BCR-ABL1チロシンキナーゼを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ,ダサチニブ,ニロチニブなど)が用いられる.チロシンキナーゼ阻害薬が導入されてから,治療成績は大きく向上した.BPは急性白血病と同様の臨床像であり,急性白血病としての治療が行われる.AP/BPに移行すると予後不良であるが,CPでは治療成績良好であるため,早期発見の意義は大きい.
治療効果判定を行ううえで,リアルタイムPCR(polymerase chain reaction)によるBCR-ABL1 mRNA(messenger ribonucleic acid)のモニタリングは非常に重要である.治療経過中にチロシンキナーゼ阻害薬による治療効果が不良となる場合があるが,その原因のひとつとして,ABL1遺伝子変異が挙げられる.
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