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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻10号

2015年09月発行

文献概要

増刊号 血液形態アトラス Ⅰ部 造血器悪性腫瘍 2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)

3 本態性血小板血症(ET)

著者: 矢冨裕1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.920 - P.921

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 本態性血小板血症は骨髄増殖性腫瘍のひとつであり,造血幹細胞レベルの異常から主に血小板が著しく増加するものである1).原発性血小板血症とも呼ばれる.骨髄において巨核球が,末梢血中においては血小板がそれぞれ著増し,血小板数が100万/μLを超えることも多い.白血球や赤血球も増加していることが多いが,血小板の増加ほど顕著ではない.造血幹細胞レベルでの遺伝子の後天的な変異によるものと考えられており,およそ半数の患者でヤヌスキナーゼ2(janus kinase 2:JAK2)V617F変異遺伝子が検出される.急性白血病や骨髄線維症に転化することはまれであり,生命予後はむしろ血栓止血関連の合併に規定されることが多い.治療では,抗血小板薬としてアスピリンを使用する.60歳を超えている,血栓症の既往がある,血小板が著増している(150万/μL以上)高リスク群では骨髄抑制療法を行い,現時点ではヒドロキシカルバミドが最も使用されている3)

参考文献

2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN) 参考文献リスト
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al (ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC, Lyon,2008
2)直江知樹,朝長万左男,中村栄男,他(編):WHO血液腫瘍分類─WHO分類2008をうまく活用するために.医薬ジャーナル社,2010
3)日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン,2013年版.WEB版(第1.1版)(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/index.html:最終アクセス2015年8月7日)
4)Klampfl T, Gisslinger H, Harutyunyan AS, et al : Somatic mutations of calreticulin in myeloproliferative neoplasms. N Engl J Med 369:2379-2390,2013
5)Nangalia J, Massie CE, Baxter EJ, et al : Somatic CALR mutations in myeloproliferative neoplasms with nonmutated JAK2. N Engl J Med 369:2391-2405,2013
6)Heuck G : Falle von Leukamie mit eigenthumlichem Blutresp. Knochenmarksbefund.Virchow Arch 78:475-496,1879

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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