文献詳細
文献概要
増刊号 血液形態アトラス Ⅰ部 造血器悪性腫瘍 2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)
4 原発性骨髄線維症(PMF)
著者: 丸尾理恵1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.922 - P.923
文献購入ページに移動 原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF)は1879年にHeuckらにより初めて報告された疾患で6),骨髄において主に巨核球と顆粒球系細胞が増加するMPN(myeloproliferative neoplasms)である.進行すると骨髄の線維化や脾腫,白赤芽球症(leukoerythroblastosis),髄外造血が認められる.AML(acute myeloid leukemia)への急性転化が5〜30%に認められる1〜3).PMFの診断基準を→表11)に示す.PMFでみられる3血球系統の増殖はモノクローナルなもので,幹細胞の異常によると考えられている.約半数の症例にJAK2遺伝子変異(V617F),約5%の症例にMPL遺伝子変異(W 515L/K)がみられ,PMFの発症や病気の進展に大きく関わっている可能性がある.
診断時,約20〜30%の患者は無症状であり健診や他疾患で医療機関を受診した際に,貧血や脾腫,白赤芽球症,LD(lactate dehydrogenase)の上昇などを指摘され,偶然発見される.髄外造血によって脾腫が約90%にみられ,しばしば巨脾となる.肝腫大も約50%に認められる.その他,全身倦怠感,呼吸困難,体重減少,夜間盗汗,微熱,出血傾向などの全身症状を伴うことがある.
診断時,約20〜30%の患者は無症状であり健診や他疾患で医療機関を受診した際に,貧血や脾腫,白赤芽球症,LD(lactate dehydrogenase)の上昇などを指摘され,偶然発見される.髄外造血によって脾腫が約90%にみられ,しばしば巨脾となる.肝腫大も約50%に認められる.その他,全身倦怠感,呼吸困難,体重減少,夜間盗汗,微熱,出血傾向などの全身症状を伴うことがある.
参考文献
2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN) 参考文献リスト
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al (ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC, Lyon,2008
2)直江知樹,朝長万左男,中村栄男,他(編):WHO血液腫瘍分類─WHO分類2008をうまく活用するために.医薬ジャーナル社,2010
3)日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン,2013年版.WEB版(第1.1版)(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/index.html:最終アクセス2015年8月7日)
4)Klampfl T, Gisslinger H, Harutyunyan AS, et al : Somatic mutations of calreticulin in myeloproliferative neoplasms. N Engl J Med 369:2379-2390,2013
5)Nangalia J, Massie CE, Baxter EJ, et al : Somatic CALR mutations in myeloproliferative neoplasms with nonmutated JAK2. N Engl J Med 369:2391-2405,2013
6)Heuck G : Falle von Leukamie mit eigenthumlichem Blutresp. Knochenmarksbefund.Virchow Arch 78:475-496,1879
掲載誌情報