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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻10号

2015年09月発行

文献概要

増刊号 血液形態アトラス Ⅰ部 造血器悪性腫瘍 2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN)

6 慢性好酸球性白血病(CEL)

著者: 増田亜希子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.926 - P.927

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 本項では,FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴う慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia:CEL)の自験例を提示するとともに,好酸球増多症を来す疾患について概説する.

 持続的な好酸球増多症(≧1,500/μL)を示す疾患と診断基準の概要を→表11,2)に示す.CEL-NOS(chronic eosinophilic leukemia-not otherwise specified)の診断基準はWHO分類第4版に明記されているが,好酸球のクローン性の証明は実際には困難である.そのため,CEL-NOSと診断される症例は非常に少なく,特発性好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)に分類される症例が多いと考えられる1,2)

 FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴うCELは,WHO分類第4版では,「PDGFRA,PDGFRB,またはFGFR1遺伝子に異常を有し,好酸球増加を伴う骨髄系とリンパ系の腫瘍」に分類される(本書では便宜上,「骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)」に分類している).再構成を生じる遺伝子によって臨床的な特徴は異なるが,いずれも好酸球増加を来す.PDGFRA遺伝子関連の腫瘍ではCELの病態を取ることが多く,PDGFRB遺伝子関連の疾患では慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia:CMML)様の病態であることが多い.FGFR1異常では,リンパ系腫瘍の病態を取ることが多い.

●PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNについて

 PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNで最も多くみられるのは,4q12の微小欠失によるFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を有する例である.CELとしての発症が最も多いが,AML(acute myeloid leukemia)やT-LBL(T-cell lymphoblastic lymphoma)としての発症もありうる.PDGFRA融合遺伝子を伴うMPNはまれで,男性に極端に多い.(男女は17:1).FIP1L1-PDGFRA融合遺伝子を伴うCELでは,好酸球の浸潤などにより,多臓器に病変がみられる.皮膚搔痒,呼吸器系,消化器系の症状が多い.脾腫を高率に認める.

参考文献

2章 骨髄増殖性腫瘍(MPN) 参考文献リスト
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al (ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC, Lyon,2008
2)直江知樹,朝長万左男,中村栄男,他(編):WHO血液腫瘍分類─WHO分類2008をうまく活用するために.医薬ジャーナル社,2010
3)日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン,2013年版.WEB版(第1.1版)(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/index.html:最終アクセス2015年8月7日)
4)Klampfl T, Gisslinger H, Harutyunyan AS, et al : Somatic mutations of calreticulin in myeloproliferative neoplasms. N Engl J Med 369:2379-2390,2013
5)Nangalia J, Massie CE, Baxter EJ, et al : Somatic CALR mutations in myeloproliferative neoplasms with nonmutated JAK2. N Engl J Med 369:2391-2405,2013
6)Heuck G : Falle von Leukamie mit eigenthumlichem Blutresp. Knochenmarksbefund.Virchow Arch 78:475-496,1879

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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