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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻10号

2015年09月発行

文献概要

増刊号 血液形態アトラス Ⅱ部 造血器腫瘍以外 8章 白血球系

1 伝染性単核症(IM)

著者: 大金亜弥1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1020 - P.1021

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 伝染性単核症は,EBV(Epstein-Barr virus)に感染することにより発症する急性感染症である.数日〜2週間程度持続する発熱,咽頭痛,頸部リンパ節腫脹の3つの臨床症状と,末梢血液中に異型リンパ球を認めることが特徴である.約半数に肝脾腫がみられ,約8割の患者に肝機能障害がみられる.

 思春期に感染した場合,通常1〜3カ月で治癒する.しかし,乳幼児期で症状が遷延する例や,成人では劇症肝炎に進展する例が知られており,特に血球貪食症候群を合併する場合は致死的経過をとる可能性があり,多彩な合併症には注意が必要である.

 EBVは唾液を介して感染し,既感染者からの輸血や臓器移植でも感染する可能性がある.季節性はない.一度感染すると潜伏感染状態となり,終生ウイルスキャリアとなる.2〜3歳までに感染率は7割前後に達し,ほとんどが不顕性感染である.

参考文献

8章 白血球系 参考文献リスト
1)日本集中治療医学会Sepsis Registry委員会:日本版敗血症診療ガイドライン.日集中医誌 20:124-173,2013(http://www.jsicm.org/pdf/SepsisJapan2013.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
2)遠藤重厚,鈴木泰,高橋学:プレセプシン─新しい敗血症のマーカー.検と技 42:196-199,2014
3)大橋春彦,堀田知光:薬剤性造血器障害─臨床 病理と臨 27:728-732,2009
4)風間啓至,吉永健太郎:薬剤性血液異常.診断と治療 99:1230-1235,2011
5)日本小児血液・がん学会:小児がん診療ガイドライン 第6章 神経芽腫(http://www.jspho.jp/pdf/guideline/ccgl11_10.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
6)森脇昭介,万代光一,岡部健一,他:骨髄穿刺・生検による骨髄転移の病理学的検討.癌の臨 49:203-209,2003
7)熊倉俊一:HPSの病態・診断・治療.血栓止血誌 19:210-215,2008
8)McKenna RW, Asplund SL, Kroft SH : Immunophenotypic analysis of hematogones (B-lymphocyte precursors) and neoplastic lymphoblasts by 4-color flow cytometry. Leuk Lymphoma 45:277-285,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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