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文献詳細

雑誌文献

検査と技術43巻10号

2015年09月発行

文献概要

増刊号 血液形態アトラス Ⅱ部 造血器腫瘍以外 8章 白血球系

6 神経芽腫

著者: 水間知世1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1030 - P.1031

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 神経芽腫は,胎生期の神経堤細胞を起源とする細胞が癌化したものである.腫瘍は副腎髄質および後腹膜部,後縦隔部など交感神経の存在する部位に発生し,カテコラミンを産生する5).神経芽腫は小児期の悪性腫瘍の約10〜15%を占め,白血病に次いで多く,固形腫瘍としては最も頻度が高い.

 症状は発症年齢と病期で異なる.悪性度の高いものから自然退縮するものまで,臨床経過は様々である.新生児期では病期4Sを示すことが多く,分娩時に巨大な胎盤,浮腫,貧血,黄疸などの胎児赤芽球症に類似した症状と,多発性肝転移による著明な腹部膨満を認める.乳児期では,新生児期と同様の病期4S,または限局腫瘍例が多い.限局腫瘍例は無症状で,乳児健診などにより偶然発見されることが多い.幼児期では,大きな原発腫瘍と多彩な転移症状が出現する.転移症状としては,脊髄圧迫,腰痛,膀胱直腸障害,下肢麻痺などを起こす.

 神経芽腫患者の約70%は診断時に転移がみられる.予後は発症年齢,臨床病期,染色体・遺伝子異常の有無と強く関連する.18カ月未満の発症例は予後良好であり,18カ月以上の発症例は予後不良である.腫瘍組織中のMYCN遺伝子増幅は予後不良因子である.

参考文献

8章 白血球系 参考文献リスト
1)日本集中治療医学会Sepsis Registry委員会:日本版敗血症診療ガイドライン.日集中医誌 20:124-173,2013(http://www.jsicm.org/pdf/SepsisJapan2013.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
2)遠藤重厚,鈴木泰,高橋学:プレセプシン─新しい敗血症のマーカー.検と技 42:196-199,2014
3)大橋春彦,堀田知光:薬剤性造血器障害─臨床 病理と臨 27:728-732,2009
4)風間啓至,吉永健太郎:薬剤性血液異常.診断と治療 99:1230-1235,2011
5)日本小児血液・がん学会:小児がん診療ガイドライン 第6章 神経芽腫(http://www.jspho.jp/pdf/guideline/ccgl11_10.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
6)森脇昭介,万代光一,岡部健一,他:骨髄穿刺・生検による骨髄転移の病理学的検討.癌の臨 49:203-209,2003
7)熊倉俊一:HPSの病態・診断・治療.血栓止血誌 19:210-215,2008
8)McKenna RW, Asplund SL, Kroft SH : Immunophenotypic analysis of hematogones (B-lymphocyte precursors) and neoplastic lymphoblasts by 4-color flow cytometry. Leuk Lymphoma 45:277-285,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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