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増刊号 血液形態アトラス Ⅱ部 造血器腫瘍以外 9章 赤血球系
6 寒冷凝集素症(CAD)
著者: 水間知世1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1052 - P.1053
文献購入ページに移動 寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)は,寒冷凝集素の存在により,寒冷に曝露した際に赤血球凝集や血管内溶血を来し,貧血などを呈する疾患である.広義の自己免疫性溶血貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)のうち,産生される自己抗体がIgM型冷式抗体(寒冷凝集素)であるものを指す6).CADでの溶血は寒冷凝集素価と比例するとは限らず,低力価でも溶血症状を示すことがある.臨床症状としては,慢性溶血による貧血と,末梢循環障害による四肢末端などのチアノーゼ,Raynaud現象などがある.
CADには慢性経過を取る特発性と,感染やリンパ腫などに伴う続発性とがある.感染に続発するCADは比較的急激に発症し,貧血も高度となることが多い.続発性CADを起こしやすい感染症として,マイコプラズマ,EB(Epstein-Barr)ウイルスが挙げられる.リンパ腫では,リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)に合併することが多い.
CADの根本治療法はなく,寒冷を避け,十分に保温を行うことが重要である.感染に続発するCADは2〜3週間で消退し,再燃もなく,予後良好である.慢性特発性CADに対しては,リツキシマブの有効性も報告されている.リンパ腫に続発するものについては,基礎疾患によって予後は異なる.
CADには慢性経過を取る特発性と,感染やリンパ腫などに伴う続発性とがある.感染に続発するCADは比較的急激に発症し,貧血も高度となることが多い.続発性CADを起こしやすい感染症として,マイコプラズマ,EB(Epstein-Barr)ウイルスが挙げられる.リンパ腫では,リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma:LPL)に合併することが多い.
CADの根本治療法はなく,寒冷を避け,十分に保温を行うことが重要である.感染に続発するCADは2〜3週間で消退し,再燃もなく,予後良好である.慢性特発性CADに対しては,リツキシマブの有効性も報告されている.リンパ腫に続発するものについては,基礎疾患によって予後は異なる.
参考文献
9章 赤血球系 参考文献リスト
1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:再生不良性貧血診療の参照ガイド,平成26年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H26/AA.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
2)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al (ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC, Lyon,2008
3)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド,平成26年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H26/PNH2015.pdf)
4)日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会(編):鉄剤の適正使用による貧血治療指針,改訂第2版(http://jbis.sub.jp/pdf/tetu-ketubou.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
5)Bolton-Maggs PH, Langer JC, Iolascon A, et al : Haematology Task Force of the British Committee for Standards in Haematology : Guidelines for the diagnosis and management of hereditary spherocytosis-2011update. Br J Haematol 156:37-49,2012
6)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド,平成25年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H25/5.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
7)Berentsen S, Ulvestad E, Langholm R, et al : Primary chronic cold agglutinin disease : a population based clinical study of 86 patients. Haematologica 91:460-466,2006
8)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:赤芽球癆診療の参照ガイド,改訂第3版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H25/2.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
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