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増刊号 血液形態アトラス Ⅱ部 造血器腫瘍以外 9章 赤血球系
8 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
著者: 水間知世1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1056 - P.1057
文献購入ページに移動 自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)は,赤血球膜抗原に対する自己抗体が産生され,抗原抗体反応の結果,赤血球が傷害を受けて溶血し,貧血を来す病態である.原因不明で起こる特発性のものと,基礎疾患による免疫異常の結果起こる続発性のものがある.基礎疾患としては全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患,悪性リンパ腫や慢性リンパ性白血病などのリンパ系腫瘍,感染症などが挙げられる6).
産生される自己抗体は,4℃を抗原抗体反応の至適温度とする冷式抗体と体温37℃を至適温度とする温式抗体に大別される.一般に温式抗体によるものをAIHAと呼ぶことが多いが,広義のAIHAには冷式も含まれる.冷式抗体による病型には,寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)と発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria:PCH)がある.温式抗体はほとんどがIgGに属し,まれにIgM,IgAも存在する.また,温式・冷式の両者が検出される混合型も存在する.
AIHAは臨床経過から急性と慢性に分類され,急性は6カ月以内に治癒するが,慢性は年単位または無期限の経過を取る.小児の急激発症例では急性が多いが,成人では慢性が多い.臨床症状としては,溶血により貧血,黄疸を認め,肝脾腫もしばしばみられる.治療の第一選択は副腎皮質ステロイドである.
産生される自己抗体は,4℃を抗原抗体反応の至適温度とする冷式抗体と体温37℃を至適温度とする温式抗体に大別される.一般に温式抗体によるものをAIHAと呼ぶことが多いが,広義のAIHAには冷式も含まれる.冷式抗体による病型には,寒冷凝集素症(cold agglutinin disease:CAD)と発作性寒冷ヘモグロビン尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria:PCH)がある.温式抗体はほとんどがIgGに属し,まれにIgM,IgAも存在する.また,温式・冷式の両者が検出される混合型も存在する.
AIHAは臨床経過から急性と慢性に分類され,急性は6カ月以内に治癒するが,慢性は年単位または無期限の経過を取る.小児の急激発症例では急性が多いが,成人では慢性が多い.臨床症状としては,溶血により貧血,黄疸を認め,肝脾腫もしばしばみられる.治療の第一選択は副腎皮質ステロイドである.
参考文献
9章 赤血球系 参考文献リスト
1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:再生不良性貧血診療の参照ガイド,平成26年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H26/AA.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
2)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al (ed) : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC, Lyon,2008
3)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド,平成26年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H26/PNH2015.pdf)
4)日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会(編):鉄剤の適正使用による貧血治療指針,改訂第2版(http://jbis.sub.jp/pdf/tetu-ketubou.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
5)Bolton-Maggs PH, Langer JC, Iolascon A, et al : Haematology Task Force of the British Committee for Standards in Haematology : Guidelines for the diagnosis and management of hereditary spherocytosis-2011update. Br J Haematol 156:37-49,2012
6)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:自己免疫性溶血性貧血 診療の参照ガイド,平成25年度改訂版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H25/5.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
7)Berentsen S, Ulvestad E, Langholm R, et al : Primary chronic cold agglutinin disease : a population based clinical study of 86 patients. Haematologica 91:460-466,2006
8)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業特発性造血障害に関する調査研究班:赤芽球癆診療の参照ガイド,改訂第3版(http://zoketsushogaihan.com/file/guideline_H25/2.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
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