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増刊号 血液形態アトラス Ⅱ部 造血器腫瘍以外 10章 血小板系
1 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
著者: 矢冨裕1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1070 - P.1071
文献購入ページに移動 特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)は,抗血小板抗体が血小板に結合した結果,脾臓を中心とする網内系細胞により捕捉,破壊され,血小板が減少する自己免疫性疾患である.近年では,末梢での血小板破壊亢進に加え,抗血小板自己抗体が骨髄巨核球にも結合し,血小板の産生障害を引き起こすこともITPの病態形成に重要とされている.ITPにおける自己抗体としては,血小板膜糖蛋白質(glycoprotein:GP)に対するものが主であり,とくにGPⅡb/Ⅲaが最も重要な認識抗原である.
急性型と慢性型が区別され,前者は小児に多く,しばしば感染症が先行するが,大部分の例は自然に治癒し予後良好である.一方,後者は各年齢層にみられる.増悪・寛解を繰り返し,自然治癒はあまり期待できない.一般にITPという場合は慢性型をさし,難病法における指定難病のひとつである.
臨床症状の主体は血小板減少による出血症状である.紫斑,特に点状出血が典型的であるが(→図1),粘膜出血,下血,血尿,頭蓋内出血なども発生しうる.また,血小板数5万/μL以下で出血傾向が出現しうる.血小板数が2万/μL以下になると,重篤な出血症状が出現する可能性が高まり,通常,入院のうえ,副腎皮質ステロイドを中心とした免疫抑制療法を行う.一方,出血症状が目立たない場合は,無治療で経過観察することも多い.
急性型と慢性型が区別され,前者は小児に多く,しばしば感染症が先行するが,大部分の例は自然に治癒し予後良好である.一方,後者は各年齢層にみられる.増悪・寛解を繰り返し,自然治癒はあまり期待できない.一般にITPという場合は慢性型をさし,難病法における指定難病のひとつである.
臨床症状の主体は血小板減少による出血症状である.紫斑,特に点状出血が典型的であるが(→図1),粘膜出血,下血,血尿,頭蓋内出血なども発生しうる.また,血小板数5万/μL以下で出血傾向が出現しうる.血小板数が2万/μL以下になると,重篤な出血症状が出現する可能性が高まり,通常,入院のうえ,副腎皮質ステロイドを中心とした免疫抑制療法を行う.一方,出血症状が目立たない場合は,無治療で経過観察することも多い.
参考文献
10章 血小板系 参考文献リスト
1)Moschcowitz E : Hyaline thrombosis of the terminal arterioles and capillaries : a hitherto undescribed disease. Proc NY Pathol Soc 24:21-24,1924
2)Amorosi EL, Ultman JE : Thrombotic thrombocytopenic purpura : report of 16 cases and review of the literature. Medicine 45:139-159,1996
3)Gasser C, Gautier E, Steck A, et al : Hemolytic-uremic syndrome : bilateral necrosis of the renal cortex in acute acquired hemolytic anemia. Schweiz Med Wochenschr 85:905-909,1955
4)Scully M, Hunt BJ, Benjamin S, et al : Guidelines on the diagnosis and management of thombotic thrombocytopenic purpura and other thombotic microangiopathies. Br J Haemalol 158:323-335,2012
5)溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン作成班:溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン(http://www.jsn.or.jp/academicinfo/report/hus2013book.pdf:最終アクセス2015年8月7日)
6)Scully M, Goodship T : How I treat thombotic thrombocytopenic purpura and atypical haemolytic uraemic syndrome. Br J Haemalol 164:759-766,2014
7)國島伸治:病気のはなし メイ-ヘグリン異常.検と技 36:470-474,2008
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